神殺しのクロノスタシス3

「それから?それから何を入れた?」

「もう他には何も入れてないよ。湯煎したの」

なんか、また不穏なワードが出てきた。

チョコ作りの基本だよな、湯煎。

初心者は、ちょっと難しくて「?」ってなる工程。

慣れたら、大したことないんだけどな。

で、ベリクリーデは湯煎に成功したのだろうか。

「湯煎は、ちゃんと出来たか?」

「うん。簡単だったよ」

ほう、簡単とまで言うか。

まぁ夏場だし、熱湯じゃなくても自然と柔らかくな、

「ちゃんと、熱湯の中に入れて、よーく混ぜたよ」

やっぱり馬鹿の発想だった。

そうだな。

この時点で既に人間の食べ物じゃないのに、都合よく湯煎だけ成功する訳がない。

初心者あるあるみたいな間違いしてる。

大抵の常識人には分かってると思うが。

湯煎って、お湯の中にチョコレートぶち込むことじゃないから。

お湯に浮かべたボウルの中で、お湯の熱を利用して溶かすことであって…。

あぁ、もう良い。

とにかく、ベリクリーデが全く湯煎の意味を分かっていなかったことは、充分理解した。

「そしたら、何だか水っぽくなっちゃって」

そりゃそうだろうな。

何せ、消し炭を熱湯の中にぶち込んで、かき混ぜただけだろ?

想像だにしたくない、消し炭牛乳スープの完成だ。

食事中の人、ごめんな。吐き気を催したよな。

悪いのは俺じゃなくて、ベリクリーデだから。

恨むなら、ベリクリーデを恨んでくれ。

「男の人はお肉好きだって言うから、お肉入れて混ぜたら固まるかなと思って、ステーキ肉入れた」

勿論ナマだろうな。

成程、肉の焦げる匂いの原因はそれか。

「でも、生モノはそのまま食べたら良くないから、火が通るまで炎魔法で燃やして」

「…」

「最後は冷やして固める、って書いてあったから、氷魔法で凍らせたの」

「…」

「それから常温に戻す為に、また炎魔法で燃やして」

「…」

「ろうそく差して、出来上がり」

…以上。

ベリクリーデの、殺人的3分クッキングでした。