神殺しのクロノスタシス3

心の中で、盛大な溜め息をつき。

俺は、むくっと起き上がった。

寝間着姿の、ベリクリーデを抱いて。

「ジュリス、どんぐりあげる」

「要らん。その前に、まず着替えろ」

そのみっともない姿で、隊舎の中をうろうろする訳にはいかん。

今の、ベリクリーデの姿を見てみろ。

木の葉っぱや泥にまみれ、パジャマはあちこち汚れ。

髪の毛はボサボサ(寝起きにつき)、寝癖までそのまま(寝起きにつき)。

おまけに裸足(寝起きにつき)。

寝相が悪いのか知らないが、パジャマの胸元がはだけ、下着のキャミソールがはみ出してる有り様。

こいつは、自分が一応女だってことを理解してるのか?

どんぐりどころじゃないだろ。

「でも、どんぐり…」

「どんぐりは良いから!まず着替えるぞ」

この状態で、隊舎をうろうろする訳にはいかないので。

俺は地面を蹴って、ベリクリーデの部屋の窓から、再び室内に戻った。

ベリクリーデを立たせておき、室内をぐるりと見渡すと。

多分、昨日脱ぎ捨てたばかりであろう、聖魔騎士団魔導部隊の制服が、そのまま床に放置されていた。

制服の中に着る白いシャツも、皺だらけのまま、くしゃくしゃになって床に放り出されている。

…。

俺は、ずかずかとベリクリーデの部屋のクローゼットに近寄り。

容赦なく、クローゼットを開けた。

おいおい、女の部屋のクローゼットを勝手に開けるな、って?

しょうがないだろ。このまま放置したらこいつ、この床に散らばったクタクタの衣類を、このまま着るぞ。

あまりにみっともない。

しかし。

「…」

クローゼットの中にある、予備のシャツと制服も。

洗って持ってきてもらってるはずなのに、だらしな〜くハンガーにかけられ。

それでもハンガーにかけられていたら良い方で。

中には、ハンガーから落下して、クローゼットの下の方にくしゃっ、と丸められている衣類もある。

…だらしなさの極み。

まともな服が一枚もねぇ。

はぁ〜…。

俺は、本日二回目の、盛大な溜め息をついた。