神殺しのクロノスタシス3

…儚い命が燃え尽きて、ちょっと冷静になった結果。

俺、ちょっとナジュに感化され過ぎてたわ。

たかだか数百円の線香花火が人生とか、大袈裟過ぎんだろ。 

熱くなってた自分が、超絶アホらしい。

シルナ、怒られ損。

「悪かったよ、シルナ…」
 
「うぅ…。ひっく。羽久ぇぇ…」

うん、俺が悪かった。

俺が悪かったから、俺の服に涙と鼻水つけるのやめてくれないかな。

で、そんな俺を焚き付けた首謀者は。

「ふっ。命なんて所詮そんなもの。尽きても尽きても、また蘇る…」

蘇るのはお前だけだよ、馬鹿。

もっと命を大事にしろ。

とか言ってると。

ポトン、とナジュの線香花火の命が燃え尽きた。

…。

「…相変わらず儚いな、お前の命は」

「大丈夫。僕不死身なんで。尽きても尽きても蘇る…」

線香花火は蘇らねーっての。

で。

残るは三人。

イレースと、チビ二人組のみ。

イレースは、置き物のように微動だにせず、命を守っていた。

強そう。

…それは良いのだが。

「…きれーだねー、これ、『八千代』」

「うん。…天国から、『玉響』も見てるかな…」

「きっと見てるよ。世の中にはこんなきれーな色があるんだなーって」

「そっか…。そうだと良いね」

…子供達が、すげー、しんみりした良い雰囲気になってる。

「…おい、おいイレース」

俺は、置き物と化しているイレースの耳元に、そっと話しかけた。

「何です。私は今忙しいんです」

生きることにか?

「お前ちょっと…。先に落ちてやれよ」

「?何故?」

「何故って…。ほら、勝たせてやった方が良いだろ」

令月達に、華持たせてやろう。

何せ、人生初めての花火なんだから。

しかも、何気に良い雰囲気になってるしさ。

ここは大人として、空気を読んで勝たせてあげた方が、

「お断りします」

そんな大人気は、イレースには微塵もなかった。