神殺しのクロノスタシス3

いざ。

勝負開始。

皆でたらいを囲んで、パチパチと光る線香花火。

…ナジュじゃないが。

これが人生…かぁ。

まぁ、あれだよな。

咲いてるときは美しく、散るときは呆気なく。

そういう意味では、これも一つの人生なのかもな。

「ね?僕の言った通りでしょ?」

「うるせぇ」

揺らすな。落ちるだろ。

線香花火を落とさないコツって、何だかんだ色々あると思うけど。

何のかんの言っても、やっぱり動かないのが一番だよな。

イレースなんか、微動だにしてない。

置き物みたいに、ピシッ、と止まっている。

対するシルナは。

「あっ、痒い。背中痒い今!誰か掻いて!」

線香花火あるある。

集中してるときに限って、どっか痒くなる。

更に。

「あっ、くしゃみ出そう!くしゃみ!止めて!止めてー!」

「うるせぇぞシルナ!」

人の気を散らそうとするな。

「あ、でも大丈夫。止まった、止まったよ」

あーそう。

ったく、喧しい奴が、

「…へくちっ!!」

「あっ!馬鹿シルナ貴様!」

くしゃみあるある。

止まったかと思いきや、いきなり出る。

しかも、そのくしゃみの勢いで、シルナの線香花火だけではなく。

シルナの左隣にいた、俺の線香花火までもが消し飛んだ。

何してくれてんのこいつ?

万死に値するんだけど。

「殺されたいか貴様?」

「ご、ご、ごめん羽久、ごめんよ」

しかも、被害は俺だけではない。

シルナの右隣にいた、天音の線香花火が。

何とか持ちこたえ、消えはしなかったが、ぐらっと揺らいだ。

確実にあれ、寿命縮んだぞ。

「俺は良い。リアルでも、お前とは一蓮托生だと思ってるからな。俺を巻き込むのは百歩譲って許してやろう」

しかし。

「何の罪もない天音に、何をしてくれてんだお前は?土下座だ、土下座して謝れ」

「ご、ごめん天音君!」

何がごめんだ。

「ごめんで済むか!命は一つしかないんだぞ!?」

「うわぁぁぁん羽久がめっちゃ怒る!ごめん、ごめん天音君!」

「え!?い、いや、別に良いですから」

「馬鹿野郎!命を粗末にするな愚か者!」

とか、言ってる間に。

「…あっ」

案の定、シルナによって寿命を大幅に縮められた天音の命(線香花火)が、力尽きてたらいの中に落ちた。

…。

「…シルナ」

「な、何?」

「お前は今、二人の人間を殺した。俺と天音だ」

「ふぇぇぇぇん、ごめんなさいってぇ〜っ!!」

「ごめんで済む命はねぇ!」

早くも。
 
俺、シルナ、天音の人生が終わった。