…さて。
一時間ほど、たらいを囲んで大騒ぎするちびっ子達を眺めた後。
「そろそろ終わりですね」
残る線香花火は、この場にいる人数と同じ数だけ。
「えー。もう終わりかー」
「早かったね」
はしゃぎまくってたからな、お前ら。
ロケット花火とかネズミ花火とか、色んな種類があったが。
やはり、花火の最後と言えば線香花火。
そして。
「誰が最後まで落とさずに守り切るか…勝負ですよねぇ?」
ナジュが、にやりとして言った。
…定番の奴来た。
「守る…?」
ルールを理解していないらしい二人組。
初めてだもんな。
「ほら、これしばらくしたら落っこちるでしょう?それを落とさず、最後まで守り切ったものが勝ち。家庭用花火の醍醐味です」
「ふーん…。変な風習だね」
「誰が最後でも良くない?」
風情も糞もない。
そりゃそうなんだけど、でもそういうことじゃないんだよ。
すると。
「甘い、甘いですね二人共」
ナジュが、さも嘆かわしいと言わんばかりに、大袈裟に言った。
「…何が?」
「あなた達は分かってない。良いですか、この最後の線香花火、これが尽きるとき、あなた達の夏は終わるんです」
「…!?」
…なんか言い出したぞ。
「線香花火とは、夏の代名詞。そしてその花火が燃え尽きると同時に、我々の夏は終わる。それすなわち、線香花火とは、言わば一つの人生…命そのものなんです」
「人生…」
「命」
ナジュの口八丁に、踊らされていると気づかない二人。
線香花火で人生を語るな。
止めた方が良いのかもしれないが、なんか二人共乗り気になってるみたいだから、黙っとこ。
「この美しい命の灯火を、一秒でも長く…誇り高く咲き続けさせることが出来た勝者には、この上ない夏の栄冠が与えられるんです」
「灯火…」
「栄冠…」
…うん。
世間知らずの令月とすぐりは、上手いことナジュに乗せられてるけど。
これ、全部ナジュが適当言ってるだけだから。
皆、本気にするなよ?
イレースなんか見てみろ。
アホくさ、みたいな顔をしている。
天音は苦笑い。
シルナは…まんざらでもなさそう。
お前も子供だな。
「どうです?やる気になったでしょう?」
「うん…!」
「夏の栄冠…。俺、絶対取る」
やる気満々。
さすが、口先で人を騙すことにおいて、ナジュの右に出る者はいないな。
「失礼ですね羽久さん。僕は、可愛い教え子に、楽しい夏の思い出を作ってあげようとしてるだけじゃないですか」
「あーはいはいそうだな、とにかくやるぞ」
隙あらば人の心を読みやがって、全く。
良いから、さっさと始めるぞ。
夏の風物詩、いよいよ最後だ。
一時間ほど、たらいを囲んで大騒ぎするちびっ子達を眺めた後。
「そろそろ終わりですね」
残る線香花火は、この場にいる人数と同じ数だけ。
「えー。もう終わりかー」
「早かったね」
はしゃぎまくってたからな、お前ら。
ロケット花火とかネズミ花火とか、色んな種類があったが。
やはり、花火の最後と言えば線香花火。
そして。
「誰が最後まで落とさずに守り切るか…勝負ですよねぇ?」
ナジュが、にやりとして言った。
…定番の奴来た。
「守る…?」
ルールを理解していないらしい二人組。
初めてだもんな。
「ほら、これしばらくしたら落っこちるでしょう?それを落とさず、最後まで守り切ったものが勝ち。家庭用花火の醍醐味です」
「ふーん…。変な風習だね」
「誰が最後でも良くない?」
風情も糞もない。
そりゃそうなんだけど、でもそういうことじゃないんだよ。
すると。
「甘い、甘いですね二人共」
ナジュが、さも嘆かわしいと言わんばかりに、大袈裟に言った。
「…何が?」
「あなた達は分かってない。良いですか、この最後の線香花火、これが尽きるとき、あなた達の夏は終わるんです」
「…!?」
…なんか言い出したぞ。
「線香花火とは、夏の代名詞。そしてその花火が燃え尽きると同時に、我々の夏は終わる。それすなわち、線香花火とは、言わば一つの人生…命そのものなんです」
「人生…」
「命」
ナジュの口八丁に、踊らされていると気づかない二人。
線香花火で人生を語るな。
止めた方が良いのかもしれないが、なんか二人共乗り気になってるみたいだから、黙っとこ。
「この美しい命の灯火を、一秒でも長く…誇り高く咲き続けさせることが出来た勝者には、この上ない夏の栄冠が与えられるんです」
「灯火…」
「栄冠…」
…うん。
世間知らずの令月とすぐりは、上手いことナジュに乗せられてるけど。
これ、全部ナジュが適当言ってるだけだから。
皆、本気にするなよ?
イレースなんか見てみろ。
アホくさ、みたいな顔をしている。
天音は苦笑い。
シルナは…まんざらでもなさそう。
お前も子供だな。
「どうです?やる気になったでしょう?」
「うん…!」
「夏の栄冠…。俺、絶対取る」
やる気満々。
さすが、口先で人を騙すことにおいて、ナジュの右に出る者はいないな。
「失礼ですね羽久さん。僕は、可愛い教え子に、楽しい夏の思い出を作ってあげようとしてるだけじゃないですか」
「あーはいはいそうだな、とにかくやるぞ」
隙あらば人の心を読みやがって、全く。
良いから、さっさと始めるぞ。
夏の風物詩、いよいよ最後だ。


