神殺しのクロノスタシス3

わくわくしている二人の線香花火に、ライターで火をつけてやると。

勢いよく、色鮮やかな火花が散り始めた。

「わー!何これ!『八千代』凄いよこれ!」

「本当だ、火炎放射器みたい。火炎放射器みたいだよ」

大興奮。

「凄いね何でこんなもの作れるの?」

「魔法?これ魔法なの?炎魔法の一種?」

「いや…魔法じゃないよ。化学の力だ」

そりゃ、魔法でも似たようなものは再現出来るが。

あくまでこれは、近所のショッピングセンターで買ってきた、ファミリー用線香花火セットだ。

魔法は使ってない。

「化学だって!化学すっご!」

「魔法じゃないのに、こんなものが作れるなんて…。人類…。人類凄い…」

「ヤバイよ『八千代』ほら。赤が緑に変わった!」

「こっちは青が赤に変わったよ。凄いね七変化だ」

ひっきりなしに大興奮。

めちゃめちゃテンション高いなぁ…。

普段冷静沈着なことの方が多い令月でさえ、興奮しているご様子。

先日の焼肉パーティより、明らかに楽しんでるな。

高級焼肉より家庭用花火とは、シルナの財布は泣き損だな。

「そんなもんでしょ、子供って」

と、俺の心を読んだナジュの一言である。

本当にな。

こういうとき、この二人、やっぱりまだ子供なんだなぁって思う。

身体能力的には、大人顔負けなんだけどな。

精神面では、やっぱり子供だ。

それも、まだ幼稚園児くらいの子供。

そう思うと微笑ましい。

「綺麗だね、花火…。これぞ夏って感じで、ほっこりするなぁ…」

「…」

至福の顔で花火を見つめるシルナ(おっさん)。

…何だろう。はしゃいでる令月とすぐりは、物凄く微笑ましいのに。

おっさんが花火でほっこりしてるのを見ると、なんか気持ち悪い。

「羽久が…私に失礼なことを考えてる気がするけど…。花火綺麗だから、今は良いや…」

そうか。

「何年ぶりだろうなぁ、線香花火なんて。久し振りにやってみると、案外楽しいものだね」

と、こちらも楽しそうな天音。

「子供達の付き添いとはいえ、まぁ、たまには童心に返るのも悪くはないですね」

イレースの方も、まんざらではないご様子。

ナジュはと言うと。

「…ふふ」

何故か、悪そうな笑みを浮かべていた。

「何笑ってんの、お前…」

「いやぁ…。あの二人、令月さんとすぐりさん」

「チビ共が何だって?」

「心の中、『花火って凄い!』一色で、なんか面白くて」

「…笑ってやるなよ…」

それだけ楽しんでるってことだろ?

良いことじゃないか。

「『八千歳』、それは何色?」

「これ黄色!パチパチしてる!おっきい花みたい」

「僕のは赤いよ。ほら、まだ燃えてる。長持ち」

「凄いよね〜!これ本当に人殺せそうじゃない!?」

「うん。行けるかもしれない」

…なんか、元暗殺者らしい、物騒な会話をしてるが。

聞かなかったことにしておこう。