神殺しのクロノスタシス3

ちびっ子二人組を伴って、「それ」が行われる現場に向かうと。

何故か、既に事が始まっていた。

「わー面白〜い!最近のってこんなにカラフルになるんだね〜!」

「ですね〜。殺傷能力あるんじゃないかって勢いですよ」

「…あなた達。まだ二人が来てないのに、何早くも始めてるんですか」

「ちゃんと、二人の分も残しておいてあげてね…」

子供達より楽しんでいるシルナ&ナジュと。

それを見て、片や呆れ、片や苦笑いのイレース&天音である。

「…??」

そして、それらを見て首を傾げる令月とすぐり。

「皆で用意したんだ。お前達の為に」

「僕達の…?」

そう。

そこには、水を張ったたらいを囲んで、線香花火の綺麗な光が輝いていた。

外真っ暗だから、余計綺麗。

二人の子供達、人生初の夏休みの最後の日に。

夏の風物詩をプレゼントしたい。

とのシルナの提案で、実現に至った。

ショッピングセンター行ったら、色んな種類が売ってたよ。

どうだ綺麗だろう。感動しただろう、と。

二人を振り返ると。

「あ、蚊取り線香だ」

「本当だ」

おい。

この罰当たり共。

線香花火より先に、たらいの後ろに置いた蚊取り線香の方を先に気づきやがった。

蚊取り線香より目立つものあるだろ。花火を見ろ花火を。

いや、この季節だし、外でじっとしてたら蚊が寄ってくるかと思って。

イレースが、持ってきてくれたのだ。

それは良いとして。

「蚊取り線香じゃなくて、線香花火。花火を見ろ花火を」

「花火?」

「ほら、見てみろ。シルナとナジュが持ってるだろ?」

「…?…!」

令月もすぐりも、きょとん顔。

目を丸くして、まじまじとシルナとナジュの持つ線香花火を見つめていた。

まるで、人生で初めて動物園に連れてきてもらった子供みたいだ。

「あれ、花火?」

「そうだよ」

「本物?本物なの?」

「本物だよ」

むしろ偽物ってあるの?

「『八千歳』、『八千歳』。本物の花火だって。本物の」

「凄いね、俺初めて見た〜。『八千代』見たことある?」

「ない。初めて見た」

二人共、花火を見るのは初めてらしい。

「どれくらい火薬使ってるんだろう…。ちょっとした火炎放射器みたい…」

「なんか怖くない?工場のうっかりミスで火薬入れ過ぎて、火つけた瞬間ボカーン!とかありそう」

「うん、ありそう」

ねぇよ。

花火作ってる工場の人に謝れ。

「ほら、ぐだぐだ言ってないで、お前らもやってみろ」

俺は、線香花火を二本手に取り、二人に渡そうとしたが。

「え。でも、僕資格持ってない」

「俺も無資格だよ?」

線香花火やるのに、何の資格が必要なんだよ。

「資格なんて要らねーよ。無資格でも出来るから、ほら」

「でも、うっかり校舎が燃えちゃったら?」

「そうだよ。火薬が爆発して校舎に燃え移ったら、どうするの?」

明日生徒達が帰ってきて、校舎が丸焦げになってたら、度肝を抜かすだろうな。

そうなる前に、水魔法全力でぶちまけて鎮火するけど。

「大丈夫だ。最悪校舎が燃えても、シルナが全財産はたいて建て直すから」

「良かった〜。それなら安心だね」

「うん。心配要らないね」

二人は、安心して一本ずつ線香花火を手にした。

宜しい。

「…羽久」

シルナが、燃え尽きた線香花火のカスを手に、こちらを見つめていた。

「何だよ?」

「冗談…だよね?」

「何が?」

「私が全財産はたいて校舎直すとか…」

「…」

「何で無言なのっ!?」

それくらいしてやれよ。可愛い生徒の為だろ。

「さて、俺も線香花火するかな」

「ちょっと羽久!?怖いから!危ないから!令月君すぐり君、二人共、火にはじゅーぶん気をつけてね!お願いだから!絶対校舎燃やさないで!お願いだから!」

シルナの、切実な願いは無視して。

線香花火を楽しむとしよう。