神殺しのクロノスタシス3

それを最初に企画したのは、シルナだった。  

「今年の夏休みは、色々あったでしょ?それに、令月とすぐり君にとっては、初めての夏休みだったんだし。最後の最後で、楽しい思い出作ってあげたいんだ」

と。

シルナがその企画を教師陣に話すと、皆意外そうな顔だった。

「…何で皆、そんなポカンとしてるの?」

いや、だって…。

「学院長にしては、まともなことを言うなぁと思いまして…」

「イレースちゃん辛辣!」

「って言うか、この間の焼肉事件で自分が傷ついてるから、自分を癒やしたいのかなぁと思って」

「ナジュ君も辛辣!」

「いや、学院長がそういうことを企画するのは珍しくないですけど、お菓子以外の企画が出てくるのは初めてだなって…」

「珍しく天音君も辛辣!」

「まぁ、シルナがいきなり変なことを言い出すのは、今に始まったことじゃない。むしろ、まともなことを言ってるときを探す方が難しい」

「羽久まで辛辣!うわぁぁぁん」

あ、泣いた。

済まん。つい本音が。

「で、でも学院長、良い考えだと思いますよ。『それ』なら、あの二人も知ってるだろうし…」

と、慰める天音。

確かにな。

ジャマ王国の『アメノミコト』育ちで、色々と知らないことの多い二人だが。

ましてや、娯楽なんて全く知らないに等しい。

が、『それ』なら、見たことはなくても、聞いたことくらいはあるだろう。

「私も賛成ですね。宿題もちゃんと終わらせてますし」

宿題を終わらせている限り、遊ぶことも許可するイレース。

実に彼女らしい。

「良いんじゃないですか?夏休みの唯一の楽しい思い出が、『学院長の財布に致命傷を与えたこと』だけじゃ、二人も可哀想ですし」

「羽久ぇ…。ナジュ君が、ナジュ君がね、私のトラウマを思い出させるの…」

「そ、そうか…」

半泣きのシルナ。

やめてやれナジュ。思い出させるな。

それに。

「俺も良いと思うよ。今の二人なら、仲も良いし」

今まで、少しも子供らしく遊ばせてもらえなかったんだから。

せめて今だけは、子供っぽく遊ばせてやっても良いじゃないか。

「本当?じゃあ決まりだね!…と言いたいところだけど」

うん?