こうして。
シルナの財布で、たらふく豪遊した俺達だったが。
帰り道。
「いやぁ他人の財布で食事するって最高ですね、イレースさん」
「えぇ全く。日頃のストレスが発散されて、最高の気分です」
容赦のない大人達は、この会話。
天音だけは、
「が、学院長。元気出してください…。あの、美味しかったですよ。ありがとうございました」
撃沈しているシルナを、必死で励まそうとしていた。
天音が良い奴で良かったな。
更に。
「あれって、本当に牛だったのかな」
「さぁ?解体するところ見た訳じゃないからなー。意外とキリンとかだったりして」
シャトーブリアン食っときながら、自分の食べたものを疑う子供二人。
有り難みの欠片もない。
キリンではないだろ。
「羽久ぇ…」
半泣きで、俺に縋ってくるシルナである。
一応俺も、シルナの財布で豪遊した一人なんだけどな。
何と慰めて良いやら。
「…シルナ」
「うぅ…」
「…まぁ、良かったじゃないか」
ポーカーに負けた罰ゲーム、と思うから切なくもなるのだ。
「何が…?」
「シルナのお陰で、皆楽しい時間が過ごせたんだ。そうだろ?」
「…!」
暗く沈みきっていたシルナの顔に、光が戻った。
よし。
「イレースのストレス発散にもなったし、ナジュは…まぁいつものことだが」
「ちょっと。僕はいつものことってどういう意味ですか」
うるせぇ。
「天音も俺も、美味しいもの食べさせてもらって嬉しかったし。な、天音」
「う、うん!はい!凄く美味しかったです。ありがとうございました学院長」
合わせてくれる天音。やっぱり優しい。
「元暗殺者組は…」
振り向くと、罰当たりな二人は。
まだあの肉が本当に牛だったのか、それとも別の何かの肉だったのではないか、と議論しているが。
…あれは無視しておくとして。
「発育遅れ気味な二人に、良い栄養取らせてやったと思えば。な?無駄なことなんてなかったじゃないか。皆シルナのお陰で、良い思い出が作れたよ」
ただでさえこの夏休み、後半は特に、良い思い出なかったからな。
最後くらいは、良い思い出で締めたい。
よく言うだろ?
終わり良ければ、って。
そういうことだよ。
「そっか。私の財布は犠牲になったけど…。でも皆、楽しい思い出が作れたんだね」
「そうだよ。シルナのお陰だ」
「うん…!そっか、そっか。良かった…」
ようやく、満足げな笑みを浮かべるシルナ。
機嫌が直ったようだ。
「…さすが、学院長の操縦は世界一ですね」
嬉しそうなシルナをよそに、こそっと声をかけてくるナジュ。
「まぁな」
伊達に、こいつの相棒長年やってる訳じゃないからな。
こういうときどう慰めれば良いかは、大体熟知している。
とはいえ、口から出任せではないぞ?
シルナのお陰で、皆楽しい時間が過ごせたのは、紛れもない事実だ。
俺は、それを教えてやっただけのことだ。
シルナの財布で、たらふく豪遊した俺達だったが。
帰り道。
「いやぁ他人の財布で食事するって最高ですね、イレースさん」
「えぇ全く。日頃のストレスが発散されて、最高の気分です」
容赦のない大人達は、この会話。
天音だけは、
「が、学院長。元気出してください…。あの、美味しかったですよ。ありがとうございました」
撃沈しているシルナを、必死で励まそうとしていた。
天音が良い奴で良かったな。
更に。
「あれって、本当に牛だったのかな」
「さぁ?解体するところ見た訳じゃないからなー。意外とキリンとかだったりして」
シャトーブリアン食っときながら、自分の食べたものを疑う子供二人。
有り難みの欠片もない。
キリンではないだろ。
「羽久ぇ…」
半泣きで、俺に縋ってくるシルナである。
一応俺も、シルナの財布で豪遊した一人なんだけどな。
何と慰めて良いやら。
「…シルナ」
「うぅ…」
「…まぁ、良かったじゃないか」
ポーカーに負けた罰ゲーム、と思うから切なくもなるのだ。
「何が…?」
「シルナのお陰で、皆楽しい時間が過ごせたんだ。そうだろ?」
「…!」
暗く沈みきっていたシルナの顔に、光が戻った。
よし。
「イレースのストレス発散にもなったし、ナジュは…まぁいつものことだが」
「ちょっと。僕はいつものことってどういう意味ですか」
うるせぇ。
「天音も俺も、美味しいもの食べさせてもらって嬉しかったし。な、天音」
「う、うん!はい!凄く美味しかったです。ありがとうございました学院長」
合わせてくれる天音。やっぱり優しい。
「元暗殺者組は…」
振り向くと、罰当たりな二人は。
まだあの肉が本当に牛だったのか、それとも別の何かの肉だったのではないか、と議論しているが。
…あれは無視しておくとして。
「発育遅れ気味な二人に、良い栄養取らせてやったと思えば。な?無駄なことなんてなかったじゃないか。皆シルナのお陰で、良い思い出が作れたよ」
ただでさえこの夏休み、後半は特に、良い思い出なかったからな。
最後くらいは、良い思い出で締めたい。
よく言うだろ?
終わり良ければ、って。
そういうことだよ。
「そっか。私の財布は犠牲になったけど…。でも皆、楽しい思い出が作れたんだね」
「そうだよ。シルナのお陰だ」
「うん…!そっか、そっか。良かった…」
ようやく、満足げな笑みを浮かべるシルナ。
機嫌が直ったようだ。
「…さすが、学院長の操縦は世界一ですね」
嬉しそうなシルナをよそに、こそっと声をかけてくるナジュ。
「まぁな」
伊達に、こいつの相棒長年やってる訳じゃないからな。
こういうときどう慰めれば良いかは、大体熟知している。
とはいえ、口から出任せではないぞ?
シルナのお陰で、皆楽しい時間が過ごせたのは、紛れもない事実だ。
俺は、それを教えてやっただけのことだ。


