神殺しのクロノスタシス3

やがて。

「さて、そろそろ焼けましたかね」

イレースが完璧に監督した肉達が、良い感じに焼けてきた。

凄い良い匂い。

「さぁ食べなさい。まずは子供から食べなさい」

イレースは、焼けた肉をポイポイと、令月とすぐりの皿に放り込んだ。

「へぇ〜…。これが牛の肉だって、『八千代』」

「珍しいね。これは何処の部位なんだろう?」

「それはサーロイン。腰の辺りの肉ですね」

「牛の腰肉だって!美味しいのかな」

言い方。

「じゃあこっちは?」

「それはホルモンですね。ハツと言って、牛の心臓です」

「牛の心臓肉!」

言い方。

「人間は残酷だよね。人間の心臓なんて、見ても食べようとは思わないのに、牛の心臓だったら食べよう!って気になるんだから」

やめろ。

食欲失せるからやめろ。

もうこいつらに、ホルモンの部位教えるのやめよう。

まぁ、ホルモンは結構好き嫌いあるからな。

見た目も、ちょっとエグいのあるし。

実は俺も、ホルモンはやや苦手。

食感がな?

ホルモン好きな人、ごめん。

すると、そんな俺の傍ら。

「…」

ホルモンだろうとサーロインだろうとヒレだろうと、ばくばく食べまくるイレース。

こういうところも、容赦ねぇんだよなぁ…。
 
「凄いね…。僕、ホルモン苦手だから、イレースさんどうぞ…」

イレースの食欲に気圧されながら、自分の分のホルモンを差し出す天音。

お前も、ホルモン苦手派か。

こればかりは、人によるよな。

「僕は食べれますよ、内臓。最近は自分の内臓を見る機会がよくあるので、内臓に親近感が…」

「あーはいはい、良いからお前は黙って食え」

内臓に親近感湧いてる奴なんて、全世界探してもお前くらいだよ。

更に。

「これ、内臓なんだって。『八千歳』…」

「牛の内臓って、なんか気色悪い食感だけど、意外と食べれるね」

「牛がこれだけ美味しいってことは、人間もあながち不味くはないのかもしれないね」

「かもね〜。機会があったら試してみたいね」

「うん」

こいつらは何を言ってんの?

聞かなかったことにして、俺はサーロインを食べるぞ。

シルナの尊い犠牲によって食べられる、贅沢な肉だからな。

美味しく、有り難くいただきます。