神殺しのクロノスタシス3

更に、注文タイムは続く。

「天音さん飲み物は?吟醸行っときます?」

「そうですよ。遠慮することはないんです」

ナジュもイレースも、思う存分他人の財布で気前よくなってる。

「え、いや…。あの、僕はあんまりお酒得意じゃないから、ソフトドリンクで良いかな」

優しい。

「ちぇ、つまんないですね」

「まぁ、飲めないなら仕方ないでしょう」

何で残念そうなんだ。

「その『ぎんじょう』っていう飲み物は、美味しいの?」

「なんか格好良いから飲んでみたいな〜」

チビ達が、なんか言い出してるぞ。

「あれは酒だ。お前らは飲んじゃ駄目なんだよ。こっちの、ソフトドリンクの中から選べ」

良かったな、シルナ。

チビ達が未成年で。

この二人まで飲み物アルコールだったら、それこそシルナは破産だ。

「ふーん…。ちなみに、羽久」

「うん?」

「この肉って、何の肉なの?」

恐ろしい質問を、平気な顔して聞いてきた。

「心配しなくても、牛だよ」

「牛、牛か…。牛しかないの?」



「豚や鶏の方が好きか?」

「ううん。ただ、犬とかウサギとかトカゲ肉は置いてないのかなーって」

犬とウサギ肉は許容範囲。

トカゲ肉は何?

「ヘビとかも美味しいよね〜。置いてないの?」

すぐりまでなんか言ってるし。

どうなってるんだ、ジャマ王国の食文化…。

「ないよ。牛で我慢しろ」

「そっか」

「ないならしょうがないねー」

お前らは良いとして、俺達はトカゲ肉やヘビ肉が出てきたらビビるわ。

怖くて食べられないんだけど?

…で。

「…お客様、お飲み物は?」

唯一、飲み物を注文せず、早くもテーブルに突っ伏して撃沈しているシルナに。

無邪気いっぱいの店員さんが、声をかけた。

「…お冷やで」

掠れるような声で、シルナが答えた。

天下のイーニシュフェルト魔導学院の学院長が、焼肉屋でお冷やって。

「それと…バニラアイスを一つ…」

しかし、甘いものはやっぱり欲しいらしい。

「畏まりました!少々お待ち下さ〜い」

無邪気な店員さんが、恐ろしい注文票を持って、厨房に帰っていった。

やれやれ。