神殺しのクロノスタシス3

そして。

焼肉屋に到着。

全員がテーブルを囲んで、席につき。

まず、最初にやることは。

「さてと!一番高いメニューは何かな〜っと」

うきうきと、メニュー表を開くナジュ。

シルナ(の、財布)を殺す気満々だな。

「おっ、このページなんか黒いですよ」

メニュー表の、後ろの方のページに気づくナジュ。

そのページは、何故か黒くて、金文字で商品名が書いてあった。

載っている写真も、見るからにお高そう。

高級感溢れるページだ。

プレミアム高級黒毛和牛、とか書いてある。

いかにも高そう。

一応お値段を確認してみると。

一皿に、小さい肉の塊がたった数切れしか乗ってないのに。

目玉が飛び出るほどのお値段。

シルナ、ガクブル。

「ふふふ。良いですね〜。美味しそう」

「決まりですね。じゃあ店員を呼びましょう」

ポチッ、と店員呼び出しボタンを押すイレース。

「あ、ちょ、イレースちゃんもう少し考え、」

「お待たせしました〜!」

爽やかな笑顔でやって来る店員さん。

「はやっ!」

まるで、傍に待機していたかのような早さ。

分かってるよ君は。

「ご注文お伺いします〜!」

イレースは、見開きの黒塗りページをトントン、と指で差し。

「このページのメニュー全種類、ここにいる人数分お願いします」

シルナが、あまりのショックに顔を引き攣らせていた。

イレース…。お前…。

なんつーか…本当、容赦ってものを知らないな…。

「畏まりました〜!」

あまりに大胆な注文に、店員さんも、「えっ!」とか、ちょっとはドン引きするかと思ったのだが。

無邪気に頷いて、注文を取っていた。

歴戦の勇者って感じするな。

すると。

「あ、あの、僕はこんなに高級なお肉じゃなくて大丈夫だから。こっちの、お得用セットで…」

早くも死にかけているシルナが、あまりに憐れだったのか。

白塗りのページを開いて、「激安特価!お得用一人前セット」を指差したが。

「却下」

何故か、イレースに却下されていた。

可哀想。

それどころか、ナジュが追撃をかける。

「それとドリンクですが、僕この白ワイン、ボトルで」

ボトルかよ。

つーか、酒飲むのか。

「良いですね。じゃあ私はこの赤ワイン、こちらもボトルで」

イレースも容赦なし。

「羽久さんは?」

「え?俺は…」

折角だし、そこの、何処ぞのコンクールで賞を取ったとかいう、麦焼酎を頼みたいところなんだが。

なんかシルナが可哀想だし、ここはウーロン茶に…。

しかし。

「この麦焼酎ボトル、お願いします」

「畏まりました〜!」

俺の心を読んだナジュが、俺の代わりに注文。

…うん。

…俺、悪くないからなシルナ。

俺は一応、お前に優しさを見せようとしたから。

それを阻止した、ナジュが悪い。

恨むなら、ナジュを恨んでくれ。