窓ガラスから入って、正解だった。
いや、失敗だったのか?
何せ。
稽古場の床には、びっしりと撒菱(まきびし)が散らばっていたからである。
勿論、一つでも踏み抜けば、撒菱に塗られた毒で動けなくなる。
しかし。
窓ガラスから入ったのは、やはり正解だ。
何故なら、僕は今。
一人ではないからだ。
「『八千代』!」
僕は、『八千歳』が瞬時に張ってくれた糸を足場にして、空中に立った。
仲間、味方、共闘なんて、面倒なことだと思っていた。
でも、僕は気づいた。
一人より、二人でいる方が。
ずっと、出来ることは多くなるんだって。
そして。
「…」
撒菱フィールドと化した第一稽古場で、僕達を待っていた黒装束の暗殺者。
彼らもまた、二人だった。
向こうも共闘するつもり?
違う。
僕と『八千歳』、一人ずつ始末する為に二人いるだけだ。
間違いなく、あの二人が共に戦うことはない。
『アメノミコト』にいた僕達だからこそ、分かる。
だからこれは、2対2の戦いじゃない。
2対1対1の戦いなのだ。
ならば、何も恐れることはない。
そして、予想通り。
片方の、見るからに接近戦向きのハンドクロー使いの女暗殺者は、『八千歳』に向かって飛び。
もう片方の、槍使いの男暗殺者は、僕に向かって飛んできた。
二人共、床一面に散らばった撒菱を踏んでも貫通しないよう、特殊な素材で編んだわらじを履いていた。
成程。
僕達は、床を踏んだら終わりだな。
当然ながら、『八千歳』もそれに気づいている。
『八千歳』は、いくらでも糸で足場を作れるが。
僕は、何処かに足を着けて助走をつけないと、飛べない。
故に。
「『八千代』、頼むよ」
「分かってる」
僕は、槍使いの男の攻撃に、背中を向けた。
代わりに、『八千歳』の糸を足場にして蹴り、小太刀を抜いた。
そして、僕はハンドクロー使いの女に向かって飛んだ。
女暗殺者の驚愕の顔が、目の前に飛び込んできたそのとき。
僕の背中のすぐ後ろで、ガキンッ!!と金属がぶつかるような音が聞こえた。
何の音なのか、確認しなくても分かる。
僕の背中に当たるはずだった、男暗殺者の槍が。
『八千歳』の、二本の黒いワイヤーによって防がれる音だった。
いや、失敗だったのか?
何せ。
稽古場の床には、びっしりと撒菱(まきびし)が散らばっていたからである。
勿論、一つでも踏み抜けば、撒菱に塗られた毒で動けなくなる。
しかし。
窓ガラスから入ったのは、やはり正解だ。
何故なら、僕は今。
一人ではないからだ。
「『八千代』!」
僕は、『八千歳』が瞬時に張ってくれた糸を足場にして、空中に立った。
仲間、味方、共闘なんて、面倒なことだと思っていた。
でも、僕は気づいた。
一人より、二人でいる方が。
ずっと、出来ることは多くなるんだって。
そして。
「…」
撒菱フィールドと化した第一稽古場で、僕達を待っていた黒装束の暗殺者。
彼らもまた、二人だった。
向こうも共闘するつもり?
違う。
僕と『八千歳』、一人ずつ始末する為に二人いるだけだ。
間違いなく、あの二人が共に戦うことはない。
『アメノミコト』にいた僕達だからこそ、分かる。
だからこれは、2対2の戦いじゃない。
2対1対1の戦いなのだ。
ならば、何も恐れることはない。
そして、予想通り。
片方の、見るからに接近戦向きのハンドクロー使いの女暗殺者は、『八千歳』に向かって飛び。
もう片方の、槍使いの男暗殺者は、僕に向かって飛んできた。
二人共、床一面に散らばった撒菱を踏んでも貫通しないよう、特殊な素材で編んだわらじを履いていた。
成程。
僕達は、床を踏んだら終わりだな。
当然ながら、『八千歳』もそれに気づいている。
『八千歳』は、いくらでも糸で足場を作れるが。
僕は、何処かに足を着けて助走をつけないと、飛べない。
故に。
「『八千代』、頼むよ」
「分かってる」
僕は、槍使いの男の攻撃に、背中を向けた。
代わりに、『八千歳』の糸を足場にして蹴り、小太刀を抜いた。
そして、僕はハンドクロー使いの女に向かって飛んだ。
女暗殺者の驚愕の顔が、目の前に飛び込んできたそのとき。
僕の背中のすぐ後ろで、ガキンッ!!と金属がぶつかるような音が聞こえた。
何の音なのか、確認しなくても分かる。
僕の背中に当たるはずだった、男暗殺者の槍が。
『八千歳』の、二本の黒いワイヤーによって防がれる音だった。


