神殺しのクロノスタシス3

――――――…一方、その頃。

僕は『八千歳』と共に、第一稽古場に向かっていた。

「どーする?稽古場の扉に手をかけた瞬間、ドカン!って吹っ飛ばされたりしたら」

『八千歳』が、縁起でもないことを言った。

「それはないんじゃないかな…。『アメノミコト』の流儀に反するよ」

『アメノミコト』は暗殺専門組織なのであって、そんな…市街地で派手に爆発音を聞かせる、なんてことは。

普通なら、有り得ないのだが…しかし。

「敵は『アメノミコト』じゃない。ヴァルシーナだよ」

「…そうだったね」

『アメノミコト』の流儀で考えちゃいけない。

あの、ヴァルシーナという人の流儀で考えれば。

シルナ学院長の手駒である僕達を巻き添えに、稽古場ごと爆発させてもおかしくない。

やりかねない。

「そしたらさー、どーする?」

「どうするって?」

「爆死したら」

「成仏する」

「『八千代』は潔いなー」

他に、やることある?

あとはまぁ、他の仲間達が頑張って、ヴァルシーナ『アメノミコト』連合軍を退けてくれることを祈ろう。

仲間達の幸福を祈ろう。

死んだ後、僕にそんな贅沢が許されるなら、の話だけど。

「『八千歳』は死んだらどうするの?」

「俺はな〜、そうだな。まだやり残してることがたくさんあるから、まず死なない」

成程、そういう選択肢もあるのか。

そういえば僕にも、まだやり残したことがたくさんある。

学院を卒業してないし、学院長達に恩返し出来てないし。

『八千歳』とも、まだまだ仲良くなりたい。

だから。

「じゃあ、僕も死なないことにするよ」

「だね。何が待ち受けてるのか知らないけど…。…死ぬ気で、生き残ろう」

「うん」

第一稽古場に到着した僕達は。

『八千歳』の糸を足場にして、空中に飛び。

正面入り口からではなく、高いところにある窓ガラスを割って、そこから突入した。

後でイレース先生に怒られるかもしれないけど。

それは、『八千歳』と謝ろう。