僕は、戦いは好きじゃない。
でもそれは、昔からそうだった訳じゃない。
人を切る、人を殺す為の剣術を極めることは。
俺にとって、楽しいことではなかった。
どれだけ周囲に持て囃されようとも。
人を殺す戦力として数えられるのは、不快だった。
剣の天才?
最強の剣士?
そんな称号をもらっても、ちっとも嬉しくない。
むしろ、剣を振るうことしか能のない自分に、嫌気が差した。
だから俺は、剣を捨てた。
人を切ることじゃなくて、癒やすこと、治すことで人を守ろうと思った。
そうして僕は、杖を手にした。
以来、回復魔法と、手習い程度の光魔法だけを極めることに専念し。
剣を手にすることはなくなった。
もう二度と、剣を持つことはないと思っていた。
そのつもりもなかった。
ただ、剣の代わりに極めた回復魔法だけを使って。
放浪の旅を続け、傷ついた人、病んだ人々を助けられれば、それで良かった。
でも。
ルーチェス・ナジュ・アンブローシアと、『カタストロフィ』。
そしてシルナ・エインリー学院長達との出会いによって、僕は変わった。
更に、『アメノミコト』の…令月さんやすぐりさん達を見て、思った。
守るだけでは。
癒やすだけでは。
優しさだけでは、人を救うことは出来ないのだと。
世界は、そんなに甘くないのだと。
だから、僕は。俺は。
こうして再び、剣を取った。
命を、仲間を守る為に。
回復魔法しか使えない、なんて言わせない。
守られているだけではいられない。
ナジュさんだけじゃなくて、きっと学院長も。
内心俺が「こちら側」の面も隠し持っていることを、気づいていたんだろう。
気づいていたからこそ、俺をイーニシュフェルト魔導学院に呼んだのだろう。
いざというとき、自分を、仲間を守れる強さがあることを、知っていたから。
だから俺は、その期待に応える。
それでも、戦いが好きでないのは事実だ。
人を切る感触は、心地よいものではない。
出来るだけ、戦いには関わりたくない。
だが、今回は別だ。
これまでの戦いでは、俺の出番はなかった。俺より優れた魔導師達が戦い、僕がそれを治し、癒やすことの方が大事だった。
それに、血生臭い自分の裏側を、仲間達に見せたくはなかった。
皆の前では、とても見せられない。見せたくなかった。
これまで度々、戦闘は起きたが。
俺が仲間にこの姿を見せずに済んだのは、多分学院長のお陰だ。
僕の意図を汲んで、学院長が、僕を戦わせないように、わざとそうなるよう計らってくれたのだろうと思う。
しかし今回、その余裕はない。
戦わなければいけない。
ならば、戦いたくないなんて言ってられない。
皆が命を懸けて、戦ってる。
俺もまた、同じだ。
仲間達と、同じ覚悟で戦う。
足手まといにはならない。
「ぐぁっ…!」
八回。敵の左腕が千切れて吹き飛んだ。
続けざまに、追撃の刃を振るう。
九回。敵の右の膝から下を切り落とす。
これで、もう立てないだろう。
戦闘不能。決着はついた。
僕だったら、きっとここで攻撃をやめただろう。
相手が『アメノミコト』でなかったら、僕は彼を治して、国に返すだろう。
でも今回ばかりは、そんなことは無意味だ。
『アメノミコト』のやり口は、今までの彼らとの攻防で、よく分かっている。
ここに送り込まれた時点で、彼らは死んでいるのだ。
勝とうが敗けようが、彼らに帰る場所はない。
捨て駒とされた彼らに、死以外の救済は有り得ない。
そして彼らは、そのことを知っている。
たくさん、人を殺した暗殺者達なのだから。
「…自分がどんな末路を迎えるかなんて、よく分かってるよね?」
十回目。
俺は、断罪の刃を振り下ろした。
でもそれは、昔からそうだった訳じゃない。
人を切る、人を殺す為の剣術を極めることは。
俺にとって、楽しいことではなかった。
どれだけ周囲に持て囃されようとも。
人を殺す戦力として数えられるのは、不快だった。
剣の天才?
最強の剣士?
そんな称号をもらっても、ちっとも嬉しくない。
むしろ、剣を振るうことしか能のない自分に、嫌気が差した。
だから俺は、剣を捨てた。
人を切ることじゃなくて、癒やすこと、治すことで人を守ろうと思った。
そうして僕は、杖を手にした。
以来、回復魔法と、手習い程度の光魔法だけを極めることに専念し。
剣を手にすることはなくなった。
もう二度と、剣を持つことはないと思っていた。
そのつもりもなかった。
ただ、剣の代わりに極めた回復魔法だけを使って。
放浪の旅を続け、傷ついた人、病んだ人々を助けられれば、それで良かった。
でも。
ルーチェス・ナジュ・アンブローシアと、『カタストロフィ』。
そしてシルナ・エインリー学院長達との出会いによって、僕は変わった。
更に、『アメノミコト』の…令月さんやすぐりさん達を見て、思った。
守るだけでは。
癒やすだけでは。
優しさだけでは、人を救うことは出来ないのだと。
世界は、そんなに甘くないのだと。
だから、僕は。俺は。
こうして再び、剣を取った。
命を、仲間を守る為に。
回復魔法しか使えない、なんて言わせない。
守られているだけではいられない。
ナジュさんだけじゃなくて、きっと学院長も。
内心俺が「こちら側」の面も隠し持っていることを、気づいていたんだろう。
気づいていたからこそ、俺をイーニシュフェルト魔導学院に呼んだのだろう。
いざというとき、自分を、仲間を守れる強さがあることを、知っていたから。
だから俺は、その期待に応える。
それでも、戦いが好きでないのは事実だ。
人を切る感触は、心地よいものではない。
出来るだけ、戦いには関わりたくない。
だが、今回は別だ。
これまでの戦いでは、俺の出番はなかった。俺より優れた魔導師達が戦い、僕がそれを治し、癒やすことの方が大事だった。
それに、血生臭い自分の裏側を、仲間達に見せたくはなかった。
皆の前では、とても見せられない。見せたくなかった。
これまで度々、戦闘は起きたが。
俺が仲間にこの姿を見せずに済んだのは、多分学院長のお陰だ。
僕の意図を汲んで、学院長が、僕を戦わせないように、わざとそうなるよう計らってくれたのだろうと思う。
しかし今回、その余裕はない。
戦わなければいけない。
ならば、戦いたくないなんて言ってられない。
皆が命を懸けて、戦ってる。
俺もまた、同じだ。
仲間達と、同じ覚悟で戦う。
足手まといにはならない。
「ぐぁっ…!」
八回。敵の左腕が千切れて吹き飛んだ。
続けざまに、追撃の刃を振るう。
九回。敵の右の膝から下を切り落とす。
これで、もう立てないだろう。
戦闘不能。決着はついた。
僕だったら、きっとここで攻撃をやめただろう。
相手が『アメノミコト』でなかったら、僕は彼を治して、国に返すだろう。
でも今回ばかりは、そんなことは無意味だ。
『アメノミコト』のやり口は、今までの彼らとの攻防で、よく分かっている。
ここに送り込まれた時点で、彼らは死んでいるのだ。
勝とうが敗けようが、彼らに帰る場所はない。
捨て駒とされた彼らに、死以外の救済は有り得ない。
そして彼らは、そのことを知っている。
たくさん、人を殺した暗殺者達なのだから。
「…自分がどんな末路を迎えるかなんて、よく分かってるよね?」
十回目。
俺は、断罪の刃を振り下ろした。


