神殺しのクロノスタシス3

…。

…初太刀で、仕留めるつもりだったのだけど。

腐っても、『終日組』の暗殺者か。

あるいは、久し振り過ぎて、ちょっと俺の腕が鈍ったか?

敵は、かろうじて刀を抜き、俺の一撃を防いでいた。

だが、その顔には、くっきりと狼狽と焦燥が浮かんでいた。

そうだね。

そうだろうね。

俺だって、再びこんな姿を見せる機会が来るなんて、思ってなかったよ。

見られたくなかったから、他の仲間がいるときはやらなかったし。

必要なかったから、わざわざ見せなかった。

「な、何だ貴様は…!」

で、言うことがそれか。

「素性は割れてるんでしょ?じゃあ、そんなに驚かなくても良いじゃない」

それとも。

さすがのヴァルシーナでも、そこまでは調べられなかったのかな。

さぁ、どっちでも構わないけど。

君に勝ち目がないことは、一目瞭然だね。

二回、三回、四回。

俺は間髪入れずに、斬撃を繰り出した。

『終日組』の暗殺者は、何とかその一撃一撃を受け止めるのに必死だったが。

五回目で、ようやく肘の上辺りをざっくりと抉った。
 
「ぐっ…」

むしろ、五回目までよく粘ったよ。

偉いね。褒めてあげたい。

そして、次はもう躱せない。

「…段々、勘が戻ってきたからね」

俺を見下し、蔑み、イーニシュフェルト魔導学院で最弱の魔導師、なんて馬鹿にしてたツケが。

ようやく回ってきたようだけど、気分はどうだろう?

恨むなら、自分を捨て駒扱いした頭領と。

「天音・オルティス・グランディエは回復魔法専門で、前線で戦うことはない」なんて。

間違った情報を植え付けた、ヴァルシーナにしてね。

「な、何故だ…お前は、回復魔法しか使えないはず…」

「そうだね、そうだったら良かったね」

六回目、七回目。

肉薄する度に、血飛沫が飛ぶ。

勿論、敵の血だ。

俺の動きに、ついてこれてない証だ。

俺の剣の速度や重さは、令月さんに劣っていると思う。

でも技だけは、俺も負けてないつもりだ。

長年積み重ね、積み上げてきたものは。

例え何百年たとうとも、簡単に消えるものではない。

ましてや。

『アメノミコト』だか、『終日組』だか知らないが。

子供を武器にして戦わせるような、薄汚い組織の暗殺者ごとき。

俺が、負けるはずがない。