ようやく目が慣れて、視界が戻ってきたときには。
床に、僕の血と、ご老人に切り落とされた肘から下。
そして、僕自身が切り落とした肩から肘にかけての右腕が、段々とどす黒く染まっていった。
あれが毒か。あー怖い怖い。
僕が瞬時に右肩から切り落としてなかったら、今頃全身に毒が回ってるところだった。
腕一本で済むなら、安いもんだ。
「…見事な判断だ」
僕が言葉を告げる前に、ご老人はそう言った。
「これでも、死に慣れてるんでね」
お褒めに預かり光栄。
それから。
「あなたの切り札、これでもうなくなったみたいですけど」
読心魔法を再開したとき、ご老人にはもう、何の手も用意されてないことが分かった。
本当に捨て駒だったんですね。気の毒な。
「どうするんですか?老人ホーム入りたいなら、紹介しますけど」
「結構だ。例え切り札がなかろうと、負けることが分かっていても、最期の瞬間まで…己の任務を全うするまでのこと」
聞こえは良いけど、玉砕するって訳ですか。
良いね。凄く羨ましい。
玉砕出来るなんて、最高の贅沢じゃないか。
「良いですよ。僕は老人に優しいタイプなんで、あなたの死に舞台に付き合ってあげます」
でも、あなたが死ぬ前に。
これだけは、言わせておいてもらうぞ。
「…僕は死に急いでるんじゃない。死に焦がれてるんです」
だから、最高に格好良く向こう側に逝けるあなたが、羨ましくて仕方ないよ。
床に、僕の血と、ご老人に切り落とされた肘から下。
そして、僕自身が切り落とした肩から肘にかけての右腕が、段々とどす黒く染まっていった。
あれが毒か。あー怖い怖い。
僕が瞬時に右肩から切り落としてなかったら、今頃全身に毒が回ってるところだった。
腕一本で済むなら、安いもんだ。
「…見事な判断だ」
僕が言葉を告げる前に、ご老人はそう言った。
「これでも、死に慣れてるんでね」
お褒めに預かり光栄。
それから。
「あなたの切り札、これでもうなくなったみたいですけど」
読心魔法を再開したとき、ご老人にはもう、何の手も用意されてないことが分かった。
本当に捨て駒だったんですね。気の毒な。
「どうするんですか?老人ホーム入りたいなら、紹介しますけど」
「結構だ。例え切り札がなかろうと、負けることが分かっていても、最期の瞬間まで…己の任務を全うするまでのこと」
聞こえは良いけど、玉砕するって訳ですか。
良いね。凄く羨ましい。
玉砕出来るなんて、最高の贅沢じゃないか。
「良いですよ。僕は老人に優しいタイプなんで、あなたの死に舞台に付き合ってあげます」
でも、あなたが死ぬ前に。
これだけは、言わせておいてもらうぞ。
「…僕は死に急いでるんじゃない。死に焦がれてるんです」
だから、最高に格好良く向こう側に逝けるあなたが、羨ましくて仕方ないよ。


