…戦闘開始から、五分。
敵暗殺者の武器は、無数のクナイだった。
成程、いかにも暗殺者のようで。
鋭い投擲でクナイを投げ、私はそれを可能な限り、雷で撃ち落とした。
撃ち落とせないものは、全て避けた。
あのクナイには、間違いなく。
『アメノミコト』が大好きで堪らない、猛毒が塗られているだろう。
掠っただけでも、死に至る毒が。
絶対に、あれに当たる訳にはいかない。
更に、厄介なのは。
この女の、機動力。
広い食堂の中を、ぴょんぴょんと飛びながらクナイを投げてくる。
これが、うざったいことこの上ない。
私だって、接近戦は得意ではないけれど。
これほど距離を離されると、非常に厄介だ。
…イライラしてきた。
が、こうして私を苛立たせるのが、敵の目論見なのだろう。
私をここに釘付けにして、時間を稼ぎ。
更に私を苛立させ、焦らせ、隙を見せたところを狩る。
そのつもりなのだろう。
なんとも、嫌らしい手管。
いかにも暗殺者らしくて、陰湿。
しかもその戦法、私には、大変効果的だ。
何故なら、私はぐうたらな学院長と違って。
気が長い方ではないからだ。
早くも苛ついてきた。
それに、人質にされている天音さんのことも気になる。
ここでいつまでも、クナイ女と鬼ごっこしている訳にはいかない。
そして、何より私が先程から、ずっと気にしているのは…。
「…その程度か、イーニシュフェルト魔導学院の魔導師というのは」
「…は?」
クナイ女が、食堂のテーブルの上に立った。
食卓の上に土足で立つなど。
この女、まともに教育を受けていないのだろうか。
そうだ。『アメノミコト』所属の魔導師に、まともな教育を受けた者はいないんだった。
だからって、許される行為ではない。
しかも、このクナイ女、今。
何やら、私を挑発するような台詞を言わなかったか?
私の気のせいでしょうか。
「大したことはない。こんな連中に…裏切り者を二人も出し、『終日組』の暗殺者も、何人も敗北し…」
ギリ、と音がして。
クナイ女の下のテーブルが軋み、テーブルクロスが泥で汚れた。
「…」
「馬鹿な連中だ。こんな二流魔導師、さっさと始末して…」
「…黙りなさい」
落ち着いて。
落ち着いて、スマートに始末しよう。
そう思っていたが、その作戦は、破棄する。
理由は、二つ。
「…何だと?」
「…あなたは何やら、勘違いをしているようですね」
一つ目の理由は、私がイライラして、耐えきれなくなったから。
そして、二つ目の理由は。
「私は単に、手加減をしているだけです」
「手加減だと…?お前、私を誰だと思って…」
「あなたが何者だろうと、私にはそんなこと、どうでも良いんですよ」
何様のつもりですか。
私の、目の黒いうちは。
例えフユリ・スイレン女王陛下だって、こんな狼藉は許さない。
私が何より、腹を立てているのは。
私がやむなく、作戦変更を余儀なくされたのは。
「…さっきからあなたが、学院の備品を壊しまくっているからです」
「…………は?」
とぼけた顔で、クナイ女が口をぽかんと開けた。
敵暗殺者の武器は、無数のクナイだった。
成程、いかにも暗殺者のようで。
鋭い投擲でクナイを投げ、私はそれを可能な限り、雷で撃ち落とした。
撃ち落とせないものは、全て避けた。
あのクナイには、間違いなく。
『アメノミコト』が大好きで堪らない、猛毒が塗られているだろう。
掠っただけでも、死に至る毒が。
絶対に、あれに当たる訳にはいかない。
更に、厄介なのは。
この女の、機動力。
広い食堂の中を、ぴょんぴょんと飛びながらクナイを投げてくる。
これが、うざったいことこの上ない。
私だって、接近戦は得意ではないけれど。
これほど距離を離されると、非常に厄介だ。
…イライラしてきた。
が、こうして私を苛立たせるのが、敵の目論見なのだろう。
私をここに釘付けにして、時間を稼ぎ。
更に私を苛立させ、焦らせ、隙を見せたところを狩る。
そのつもりなのだろう。
なんとも、嫌らしい手管。
いかにも暗殺者らしくて、陰湿。
しかもその戦法、私には、大変効果的だ。
何故なら、私はぐうたらな学院長と違って。
気が長い方ではないからだ。
早くも苛ついてきた。
それに、人質にされている天音さんのことも気になる。
ここでいつまでも、クナイ女と鬼ごっこしている訳にはいかない。
そして、何より私が先程から、ずっと気にしているのは…。
「…その程度か、イーニシュフェルト魔導学院の魔導師というのは」
「…は?」
クナイ女が、食堂のテーブルの上に立った。
食卓の上に土足で立つなど。
この女、まともに教育を受けていないのだろうか。
そうだ。『アメノミコト』所属の魔導師に、まともな教育を受けた者はいないんだった。
だからって、許される行為ではない。
しかも、このクナイ女、今。
何やら、私を挑発するような台詞を言わなかったか?
私の気のせいでしょうか。
「大したことはない。こんな連中に…裏切り者を二人も出し、『終日組』の暗殺者も、何人も敗北し…」
ギリ、と音がして。
クナイ女の下のテーブルが軋み、テーブルクロスが泥で汚れた。
「…」
「馬鹿な連中だ。こんな二流魔導師、さっさと始末して…」
「…黙りなさい」
落ち着いて。
落ち着いて、スマートに始末しよう。
そう思っていたが、その作戦は、破棄する。
理由は、二つ。
「…何だと?」
「…あなたは何やら、勘違いをしているようですね」
一つ目の理由は、私がイライラして、耐えきれなくなったから。
そして、二つ目の理由は。
「私は単に、手加減をしているだけです」
「手加減だと…?お前、私を誰だと思って…」
「あなたが何者だろうと、私にはそんなこと、どうでも良いんですよ」
何様のつもりですか。
私の、目の黒いうちは。
例えフユリ・スイレン女王陛下だって、こんな狼藉は許さない。
私が何より、腹を立てているのは。
私がやむなく、作戦変更を余儀なくされたのは。
「…さっきからあなたが、学院の備品を壊しまくっているからです」
「…………は?」
とぼけた顔で、クナイ女が口をぽかんと開けた。


