一瞬、皆の手が止まった。
…が。
「仕方ないじゃないですか。学院長が、これで良いって言うんだから」
まぁ…そうなんだけど。
あの会議、長い医務室での会議の後。
ホワイトボードに書き出された、厄介事の数々を見て。
俺達は、これからどうしたものかと頭を抱えた。
まず、聖魔騎士団から応援を呼んで、学院の警備を最優先に…と。
誰もが考えた、そのとき。
シルナが言ったのだ。
「聖魔騎士団からの応援は、必要ない」と。
この期に及んで、何をまた水臭いことを言ってるんだ、と思ったが。
これは、シルナなりの作戦だった。
「敵が洗脳魔法使いで、誰が洗脳魔法にかかっているかの判別がつかない以上、こちらの手数は最小限にした方が良い」
シルナのこの意見に、俺達はハッとした。
確かに、無闇に手数を増やして、そのうちの誰かが、俺達の見ていないところで洗脳魔法を受けてしまったら。
こちらの作戦は掻き回され、疑心暗鬼に陥り、ただでさえ誰を信じて良いのか分からない状況が、悪化しかねない。
ならばいっそ、手数はこの場にいる…正しくは、ジュリスを除いた、イーニシュフェルト組だけに留めた方が良い。
シルナのこの意見には、ジュリスも、ジュリスから話を聞いたシュニィも、難色を示していた。
本当に『アメノミコト』とヴァルシーナが組み、俺の人格の一つであるレーヴァテインと共に攻めてきたなら。
多分…いや、絶対に。
イーニシュフェルト組だけでは、手数が足りなさ過ぎる。
別に、俺達が弱いって訳じゃない。
シルナは勿論、イレースもナジュも天音も、言うまでもなく、非常に優秀な魔導師だし。
令月とすぐりの実力も、よく知っている。
しかも今では、この二人がコンビを組んでいるのだ。
大人顔負けの実力を持っていることは、よく分かっている。
それでも、ヴァルシーナだって手練の魔導師だし。
他ならぬ二十音の身体から作り出された人格、レーヴァテインという女も。
絶対、弱い訳がない。
何より、怖いのは『アメノミコト』だ。
あいつらとも敵対し始めて、もう長くなるが。
奴らの面倒臭さと執念深さ、そしてその実力も、俺達は身を以て知ってる。
それなのに、そんな連中を前に、イーニシュフェルト組だけで相手するなんて。
自殺行為だ。
ジュリスもシュニィも、俺も、その危険性は充分指摘した。
特に、シルナの身を心配するシュニィは、誰よりも食い下がった。
どうか遠慮せず、自分達を頼ってくれ、と。
ここにいる全員、誰か一人でも、欠けてからでは遅いのだ。
だが、シルナは首を横に振り続けた。
それは決して、聖魔騎士団に迷惑をかけたくないから、ではない。
これは、そういう作戦なのだ。
あくまでこちらは少数精鋭で、互いに目の届く範囲内にいる。
こうすれば、洗脳魔法で撹乱されることはない。
それにシルナは、何処に根拠があるのか知らないが。
今回の戦いにおいて、『アメノミコト』は、それほど脅威にはならないだろうと予測していた。
何故、そんなに事態を楽観視出来るのか。
だが、『アメノミコト』をよく知っている令月とすぐりも、こればかりはシルナと同意見だった。
あの鬼頭夜陰が、いくら協力関係とはいえ、異国の小娘に過ぎない、ヴァルシーナの作戦の為に。
ただでさえ欠如しつつある『終日組』の戦力を、簡単に貸すとは思えない。
だからきっと、こちらが少数精鋭であるように。
ヴァルシーナ達もまた、少数精鋭で攻めてくるだろう。
むしろこちらが手数を増やし過ぎれば、ヴァルシーナの洗脳魔法にかかり。
こちらの作戦を掻き回されかねない。
だからこそ、シルナは聖魔騎士団の協力を丁重に断ったのだ。
…が。
「仕方ないじゃないですか。学院長が、これで良いって言うんだから」
まぁ…そうなんだけど。
あの会議、長い医務室での会議の後。
ホワイトボードに書き出された、厄介事の数々を見て。
俺達は、これからどうしたものかと頭を抱えた。
まず、聖魔騎士団から応援を呼んで、学院の警備を最優先に…と。
誰もが考えた、そのとき。
シルナが言ったのだ。
「聖魔騎士団からの応援は、必要ない」と。
この期に及んで、何をまた水臭いことを言ってるんだ、と思ったが。
これは、シルナなりの作戦だった。
「敵が洗脳魔法使いで、誰が洗脳魔法にかかっているかの判別がつかない以上、こちらの手数は最小限にした方が良い」
シルナのこの意見に、俺達はハッとした。
確かに、無闇に手数を増やして、そのうちの誰かが、俺達の見ていないところで洗脳魔法を受けてしまったら。
こちらの作戦は掻き回され、疑心暗鬼に陥り、ただでさえ誰を信じて良いのか分からない状況が、悪化しかねない。
ならばいっそ、手数はこの場にいる…正しくは、ジュリスを除いた、イーニシュフェルト組だけに留めた方が良い。
シルナのこの意見には、ジュリスも、ジュリスから話を聞いたシュニィも、難色を示していた。
本当に『アメノミコト』とヴァルシーナが組み、俺の人格の一つであるレーヴァテインと共に攻めてきたなら。
多分…いや、絶対に。
イーニシュフェルト組だけでは、手数が足りなさ過ぎる。
別に、俺達が弱いって訳じゃない。
シルナは勿論、イレースもナジュも天音も、言うまでもなく、非常に優秀な魔導師だし。
令月とすぐりの実力も、よく知っている。
しかも今では、この二人がコンビを組んでいるのだ。
大人顔負けの実力を持っていることは、よく分かっている。
それでも、ヴァルシーナだって手練の魔導師だし。
他ならぬ二十音の身体から作り出された人格、レーヴァテインという女も。
絶対、弱い訳がない。
何より、怖いのは『アメノミコト』だ。
あいつらとも敵対し始めて、もう長くなるが。
奴らの面倒臭さと執念深さ、そしてその実力も、俺達は身を以て知ってる。
それなのに、そんな連中を前に、イーニシュフェルト組だけで相手するなんて。
自殺行為だ。
ジュリスもシュニィも、俺も、その危険性は充分指摘した。
特に、シルナの身を心配するシュニィは、誰よりも食い下がった。
どうか遠慮せず、自分達を頼ってくれ、と。
ここにいる全員、誰か一人でも、欠けてからでは遅いのだ。
だが、シルナは首を横に振り続けた。
それは決して、聖魔騎士団に迷惑をかけたくないから、ではない。
これは、そういう作戦なのだ。
あくまでこちらは少数精鋭で、互いに目の届く範囲内にいる。
こうすれば、洗脳魔法で撹乱されることはない。
それにシルナは、何処に根拠があるのか知らないが。
今回の戦いにおいて、『アメノミコト』は、それほど脅威にはならないだろうと予測していた。
何故、そんなに事態を楽観視出来るのか。
だが、『アメノミコト』をよく知っている令月とすぐりも、こればかりはシルナと同意見だった。
あの鬼頭夜陰が、いくら協力関係とはいえ、異国の小娘に過ぎない、ヴァルシーナの作戦の為に。
ただでさえ欠如しつつある『終日組』の戦力を、簡単に貸すとは思えない。
だからきっと、こちらが少数精鋭であるように。
ヴァルシーナ達もまた、少数精鋭で攻めてくるだろう。
むしろこちらが手数を増やし過ぎれば、ヴァルシーナの洗脳魔法にかかり。
こちらの作戦を掻き回されかねない。
だからこそ、シルナは聖魔騎士団の協力を丁重に断ったのだ。


