神殺しのクロノスタシス3

「…面倒だね。相手がどんな魔法を使えるのか分からないって」
 
「誰もが『八千代』みたいに、一種類の魔法しか使えなかったら、話は早かったのに」

ま、まぁ令月君は特別だから。

「つまり、僕達には思いもよらない魔法を使ってくる可能性も、あるってことだね」

「そうだね」

「イーニシュフェルトの里直伝の魔法だからな…。絶対厄介な魔法に決まってるぞ」

同意見だよ。

しかしね、ジュリス君。

「…ヴァルシーナちゃんが、羽久の身体からレーヴァテインという人格を、新たに引き出したと聞いて…思い当たる節がある」

「ほう?」

あれから、少し考えた。

羽久の身体のオリジナルは、二十音。

そして二十音は、「私に敵対する人格」を生み出したことはなかった。

だからレーヴァテインの誕生は、オリジナルである二十音の意志に反している。

オリジナルの意志に反してまで、レーヴァテインという人格は生み出された。

これは、二十音の身体にとって、イレギュラーな事態。

本来なら、有り得ないはずの出来事。

それを可能にしたのは、間違いなくヴァルシーナちゃんの魔法によるものだ。

本人の意志を捻じ曲げ、無理矢理有り得ないはずの行動を引き起こす魔法…。

イーニシュフェルトの里でも、研究されていた。

その中でも、ヴァルシーナちゃんが使っているのは恐らく…。

「…洗脳魔法。ヴァルシーナちゃんは恐らく、羽久を洗脳して、レーヴァテインという新しい人格を無理矢理生み出させたんだ」

断定は出来ない。

しかし、そう考えれば辻褄が合う。