とりあえず。
シルナが、そっと話しかけた。
「…えーと。目を閉じたまま聞いてくれるかな」
「何?」
「君のお名前は?」
「黙秘」
そうなるよな。
仕方ない。こいつのことは、これから黙秘君と呼ぼう。
黙秘君(仮名)。
本人が喋らないんだから仕方ない。
「じゃあじゃあ、年はいくつかな?」
「黙秘」
駄目か。
「年齢は憶測出来るでしょう。見たところ…令月さんと同じくらいか、一つくらい年下か…」
と、イレース。
だな。
俺達だって、その年の子供達を毎年預かってるんだ。
顔立ちや体格、声を聞けば、大体の年齢は分かる。
多分、令月とさして変わらない。
…気に入らない。
黙秘君に対して、ではない。
令月しかり、この黙秘君しかり。
こんな、まだ年端も行かない子供を、平気で暗殺者に仕立てあげる『アメノミコト』の手口が。
「じゃあ、少年」
「…」
「君は、ここに何をしに来たの?」
「…それ、いちいち口に出して答えなきゃならないこと?」
…と、馬鹿にしたような口調。
言い方はムカつくが、その通りだな。
彼がここに何をしに来たのかなんて、愚問というものだ。
俺達は、実際見たのだから。
令月とこの少年が、生きるか死ぬかの決闘を繰り広げているところを。
「…令月君を殺しに来たの?」
「…黙秘」
「令月君を殺そうとしてたよね」
「黙秘」
まぁ…逆に令月が、こいつを殺そうともしてたけど…。
とにかく、殺し合っていたのは事実だ。
「君は『アメノミコト』の、暗殺者なんだね?」
「黙秘」
「『アメノミコト』の頭領に言われて来たの?令月君を殺せって?」
「黙秘」
「ターゲットは令月君だけ?それとも、令月君の後、他にも殺す人がいたのかな」
「黙秘」
ちょっと、イラッとしてきた。
あまりにも黙秘されるから。
すると、イレースが。
「…さっきから聞いていれば、黙秘黙秘と」
「…」
「自分の立場が分かってるんですか?敵の手中に落ちておきながら、客人待遇でいられるのも…」
「ま、まぁイレースちゃん。ちょっと落ち着いて…」
とりあえず、脳天に一発、雷落としてやろうとでも思ったのか。
杖を取り出そうとするイレースを、シルナが慌てて止めた。
すると。
「何?脅してるの?」
挑発的に、黙秘君が言った。
「良いよ、好きなだけ脅せば。どうせ殺さないって分かってるもん。お優しいお優しいシルナ・エインリー学院長は、年端も行かない少年の暗殺者を殺せない。拷問にかけることも出来ない。でしょ?」
…こいつ。
「好きなだけ脅しなよ。ほら。拷問してみなよ。どうするの?やってみてよ」
…。
「…何だろう。出会った当初のナジュを彷彿とさせるムカつき加減」
「同感です。いっそ腹いせに、ナジュさんに雷落としましょうか」
「良い案だなイレース」
「うわー。僕腹いせに黒焦げですか?やっぱり精神世界に逃げよう」
「ちょっとちょっと君達。落ち着きなさいって」
ここに来て、仲間割れが始まる教師陣である。
それもこれも、この黙秘野郎のせいだ。
「お前な、殺されないと思って生意気なことばっか言ってたら…」
「どうなるの?」
…それは。
「生意気なことばっかり言ってたら、どうなるの?どうするの?殺せない癖に、何が出来るの?」
…。
シルナが、そっと話しかけた。
「…えーと。目を閉じたまま聞いてくれるかな」
「何?」
「君のお名前は?」
「黙秘」
そうなるよな。
仕方ない。こいつのことは、これから黙秘君と呼ぼう。
黙秘君(仮名)。
本人が喋らないんだから仕方ない。
「じゃあじゃあ、年はいくつかな?」
「黙秘」
駄目か。
「年齢は憶測出来るでしょう。見たところ…令月さんと同じくらいか、一つくらい年下か…」
と、イレース。
だな。
俺達だって、その年の子供達を毎年預かってるんだ。
顔立ちや体格、声を聞けば、大体の年齢は分かる。
多分、令月とさして変わらない。
…気に入らない。
黙秘君に対して、ではない。
令月しかり、この黙秘君しかり。
こんな、まだ年端も行かない子供を、平気で暗殺者に仕立てあげる『アメノミコト』の手口が。
「じゃあ、少年」
「…」
「君は、ここに何をしに来たの?」
「…それ、いちいち口に出して答えなきゃならないこと?」
…と、馬鹿にしたような口調。
言い方はムカつくが、その通りだな。
彼がここに何をしに来たのかなんて、愚問というものだ。
俺達は、実際見たのだから。
令月とこの少年が、生きるか死ぬかの決闘を繰り広げているところを。
「…令月君を殺しに来たの?」
「…黙秘」
「令月君を殺そうとしてたよね」
「黙秘」
まぁ…逆に令月が、こいつを殺そうともしてたけど…。
とにかく、殺し合っていたのは事実だ。
「君は『アメノミコト』の、暗殺者なんだね?」
「黙秘」
「『アメノミコト』の頭領に言われて来たの?令月君を殺せって?」
「黙秘」
「ターゲットは令月君だけ?それとも、令月君の後、他にも殺す人がいたのかな」
「黙秘」
ちょっと、イラッとしてきた。
あまりにも黙秘されるから。
すると、イレースが。
「…さっきから聞いていれば、黙秘黙秘と」
「…」
「自分の立場が分かってるんですか?敵の手中に落ちておきながら、客人待遇でいられるのも…」
「ま、まぁイレースちゃん。ちょっと落ち着いて…」
とりあえず、脳天に一発、雷落としてやろうとでも思ったのか。
杖を取り出そうとするイレースを、シルナが慌てて止めた。
すると。
「何?脅してるの?」
挑発的に、黙秘君が言った。
「良いよ、好きなだけ脅せば。どうせ殺さないって分かってるもん。お優しいお優しいシルナ・エインリー学院長は、年端も行かない少年の暗殺者を殺せない。拷問にかけることも出来ない。でしょ?」
…こいつ。
「好きなだけ脅しなよ。ほら。拷問してみなよ。どうするの?やってみてよ」
…。
「…何だろう。出会った当初のナジュを彷彿とさせるムカつき加減」
「同感です。いっそ腹いせに、ナジュさんに雷落としましょうか」
「良い案だなイレース」
「うわー。僕腹いせに黒焦げですか?やっぱり精神世界に逃げよう」
「ちょっとちょっと君達。落ち着きなさいって」
ここに来て、仲間割れが始まる教師陣である。
それもこれも、この黙秘野郎のせいだ。
「お前な、殺されないと思って生意気なことばっか言ってたら…」
「どうなるの?」
…それは。
「生意気なことばっかり言ってたら、どうなるの?どうするの?殺せない癖に、何が出来るの?」
…。


