「じゃ…つまり、ヴァルシーナと、『アメノミコト』が、全勢力で徒党を組んで攻めてくる、ってことは、ないと思って良いんだな?」
と、確認を取るジュリス君。
「確かなことは言えないけど…。それはないと思う」
「『アメノミコト』の手を借りたとしても、精々一部だけだろうね。『終日組』も、先の戦闘でだいぶ削られただろうし」
貴重な戦力を、ヴァルシーナちゃんごときに託したくない、ってことか。
「ヴァルシーナに貸すであろう、その一部の戦力だって…きっと大したことないだろうから、安心していーよ」
「すぐり君?」
「『終日組』の本命は絶対、自分の傍から離さないだろーし…。来るとしたら、俺と同じ、捨て駒扱いの二流暗殺者ってところかなー」
…すぐり君。
そんな言い方は…。
君は二流なんかじゃない、と…私が言おうとする前に。
「だとしたら、非常に厄介ですね」
「うん。厄介だね」
イレースちゃんと、天音君が言った。
「すぐりさんレベルの暗殺者が、ヴァルシーナさんって人と共闘するんでしょう?怖くて、枕を高くして寝られないよ」
「全くです。一人でもこんなに厄介なのに、三人四人と連れてきてみなさい。手に負えませんね」
「…」
…すぐり君、そんな驚いた顔しなくても。
君の実力は、ここにいる誰もが知ってるよ。
君が、どれほど強く、優秀な魔導師であることは。
「なら俺達は、高く見積もって、ヴァルシーナとレーヴァテイン、それからすぐりレベルの『アメノミコト』の暗殺者十名以下、これらの敵と戦わなきゃならない…かもしれない訳だな」
「そういうことですね。ま、あのプライドの高いヴァルシーナのことですから、『アメノミコト』の手助けなんか要らない!って、意地張って共闘を拒むかもしれませんが」
「そうなったら…敵はヴァルシーナとレーヴァテインの二人で、少しは楽なんだけど…」
…そこは、どうなるか分からないね。
こればかりは、あくまで推測するしかない。
だが、令月君達の言う通り、『アメノミコト』全勢力が、ヴァルシーナちゃん達と徒党を組んで攻めてくることはないだろう。
ジャマ王国国内にも、少なからず敵はいるのだろうし。
私達ばかりに、構ってはいられまい。
だから多分、これはヴァルシーナちゃんの考えた、ヴァルシーナちゃんの作戦だ。
鬼頭がその作戦に、どれだけの手を貸すつもりがあるのか。
それとも、全く手を貸すつもりはないのか…。
いずれの可能性も考えられるが。
「…それで?厄介事は以上か?」
「…いや、個人的に…ずっと疑問に思ってることがあるんだけど、言って良い?」
と、挙手する令月君。
「議論の場だ。立場も年齢も関係ねぇ。言いたいことは何でも言えよ」
「ありがとう。じゃあ聞くけど…。…ヴァルシーナは、どうやってレーヴァテインなんて人格を作り出したの?そんな魔法があるの?」
…それは。
素朴だけど、確かに重要な質問だな。
私達が抱える厄介事の一つに、数えても良いくらいには。
「世の中、色んな魔法がありますからね〜。学院長の気持ち悪い分身魔法とか」
…ナジュ君に悲しいことを言われました。
が。
「えぇ、確かに色んな魔法がありますね。私も知り合いにいますよ。無遠慮に人の心を読む読心魔法の使い手が」
私の代わりに、イレースちゃんが手痛い報復。
その知り合い、私も知ってる。
「それは大変ですね。成敗した方が良いかもしれません」
「そうですね。いつ成敗しようか、いつも考えてますけど、実はそいつ不死身でしてね。成敗しようにも出来なくて、困ってるんです」
「それは大変ですね〜」
…実に不穏な会話をありがとう。
それはともあれ。
「…あいつ、イーニシュフェルトの里の出身なんだろ。いわば、あんたの同胞だ、シルナ・エインリー。あんたなら、ヴァルシーナが使う魔法について、心当たりがあるんじゃないか?」
「…」
ジュリス君が、ハッキリと私にそう尋ねた。
…あの時代に生きていた、ジュリス君だからこそ…聞ける質問だろうね。
私としても、あまり思い出したくはないし、彼らに聞かせたくはない。
けれど…。
あの混沌の時代を生き、使命を託された私の決断を受け入れてくれた、ジュリス君だからこそ。
私は、答えなければならない。
と、確認を取るジュリス君。
「確かなことは言えないけど…。それはないと思う」
「『アメノミコト』の手を借りたとしても、精々一部だけだろうね。『終日組』も、先の戦闘でだいぶ削られただろうし」
貴重な戦力を、ヴァルシーナちゃんごときに託したくない、ってことか。
「ヴァルシーナに貸すであろう、その一部の戦力だって…きっと大したことないだろうから、安心していーよ」
「すぐり君?」
「『終日組』の本命は絶対、自分の傍から離さないだろーし…。来るとしたら、俺と同じ、捨て駒扱いの二流暗殺者ってところかなー」
…すぐり君。
そんな言い方は…。
君は二流なんかじゃない、と…私が言おうとする前に。
「だとしたら、非常に厄介ですね」
「うん。厄介だね」
イレースちゃんと、天音君が言った。
「すぐりさんレベルの暗殺者が、ヴァルシーナさんって人と共闘するんでしょう?怖くて、枕を高くして寝られないよ」
「全くです。一人でもこんなに厄介なのに、三人四人と連れてきてみなさい。手に負えませんね」
「…」
…すぐり君、そんな驚いた顔しなくても。
君の実力は、ここにいる誰もが知ってるよ。
君が、どれほど強く、優秀な魔導師であることは。
「なら俺達は、高く見積もって、ヴァルシーナとレーヴァテイン、それからすぐりレベルの『アメノミコト』の暗殺者十名以下、これらの敵と戦わなきゃならない…かもしれない訳だな」
「そういうことですね。ま、あのプライドの高いヴァルシーナのことですから、『アメノミコト』の手助けなんか要らない!って、意地張って共闘を拒むかもしれませんが」
「そうなったら…敵はヴァルシーナとレーヴァテインの二人で、少しは楽なんだけど…」
…そこは、どうなるか分からないね。
こればかりは、あくまで推測するしかない。
だが、令月君達の言う通り、『アメノミコト』全勢力が、ヴァルシーナちゃん達と徒党を組んで攻めてくることはないだろう。
ジャマ王国国内にも、少なからず敵はいるのだろうし。
私達ばかりに、構ってはいられまい。
だから多分、これはヴァルシーナちゃんの考えた、ヴァルシーナちゃんの作戦だ。
鬼頭がその作戦に、どれだけの手を貸すつもりがあるのか。
それとも、全く手を貸すつもりはないのか…。
いずれの可能性も考えられるが。
「…それで?厄介事は以上か?」
「…いや、個人的に…ずっと疑問に思ってることがあるんだけど、言って良い?」
と、挙手する令月君。
「議論の場だ。立場も年齢も関係ねぇ。言いたいことは何でも言えよ」
「ありがとう。じゃあ聞くけど…。…ヴァルシーナは、どうやってレーヴァテインなんて人格を作り出したの?そんな魔法があるの?」
…それは。
素朴だけど、確かに重要な質問だな。
私達が抱える厄介事の一つに、数えても良いくらいには。
「世の中、色んな魔法がありますからね〜。学院長の気持ち悪い分身魔法とか」
…ナジュ君に悲しいことを言われました。
が。
「えぇ、確かに色んな魔法がありますね。私も知り合いにいますよ。無遠慮に人の心を読む読心魔法の使い手が」
私の代わりに、イレースちゃんが手痛い報復。
その知り合い、私も知ってる。
「それは大変ですね。成敗した方が良いかもしれません」
「そうですね。いつ成敗しようか、いつも考えてますけど、実はそいつ不死身でしてね。成敗しようにも出来なくて、困ってるんです」
「それは大変ですね〜」
…実に不穏な会話をありがとう。
それはともあれ。
「…あいつ、イーニシュフェルトの里の出身なんだろ。いわば、あんたの同胞だ、シルナ・エインリー。あんたなら、ヴァルシーナが使う魔法について、心当たりがあるんじゃないか?」
「…」
ジュリス君が、ハッキリと私にそう尋ねた。
…あの時代に生きていた、ジュリス君だからこそ…聞ける質問だろうね。
私としても、あまり思い出したくはないし、彼らに聞かせたくはない。
けれど…。
あの混沌の時代を生き、使命を託された私の決断を受け入れてくれた、ジュリス君だからこそ。
私は、答えなければならない。


