「…成程」
全て話し終えると、ナジュ君は横になったまま頷いた。
「それはまぁ…随分と…厄介なことになりましたね」
「…そうだね」
厄介事が多過ぎて、いちいち確認していられないくらい。
でも、確認しなければならない。情報を共有しなければならない。
「…ちょっと、ホワイトボードお借りしますよ」
「あ、はい…」
イレースちゃんが、医務室のホワイトボードの前に立ち。
黒いマーカーペンを手に取った。
一つずつ、問題を羅列していく。
「はい、一人ずつどうぞ」
「…まずは、敵…レーヴァテインが、羽久と同じ容姿をしていることだね」
私としては、これが一番…心に響く。
羽久を疑ったことなど、私には一度もなかったから。
羽久が私に殺意を向けることなんて、有り得ないと思っていたから。
羽久の姿で私に敵意を向けられて、私は平然としていられるだろうか?
…正直、自信がない。
「敵が味方に変装する…。暗殺では常套手段だけど…」
「こっちがやられる側となると、厄介極まりないよね〜」
と、元暗殺者二人組。
その通りだ。
ここにいる皆、羽久の姿を見て、「敵」と認識する者はいない。
それがいきなり、本物の羽久かどうか分からないとなると。
またしても、レーヴァテインやヴァルシーナちゃんの変装に騙され、撹乱されてしまう。
すると。
「しかし、それは僕がいれば解決しますよね」
ナジュ君が、横になったまま言った。
「レーヴァテインとかいうのも、それを危惧して、まず一番に僕を潰しに来たんでしょう?どれだけ姿形を似せようと、僕の読心魔法の前には無力です」
「…そうだね」
ナジュ君の前に、変装や成りすましは無意味。
姿を見た瞬間、正体がバレてしまう。
しかし。
「当然、レーヴァテインもヴァルシーナも、それは予測してるはずですよ」
イレースちゃんが、ホワイトボードに書きながらそう言った。
「確実に、あなたを警戒して、あなたを引き離し、あなたのいない場所で学院長を狙うでしょう」
「でしょうね〜。ヴァルシーナの狡猾さは、僕もよーく知ってますし。何らかの手段で、僕とレーヴァテインを接触させないようにするでしょうね」
「…それって、またナジュさんを潰して、読心魔法を無効化させるってこと?」
天音君が、眉をひそめて言った。
「それが一番効率良いですし、そうするんじゃないですか?多分僕を一番に潰して、それから学院長を暗殺。いやぁ皆にモテて困りますね僕は」
「…ふざけないでよ」
珍しく、怒った口調だった。
天音君は、ナジュ君を真っ直ぐ睨みつけた。
「不死身だからって、自分の命を軽々しく扱わないで。君の、そういうところは…本当に嫌いだ」
「…」
…天音君。
「いくら壊されたって良い?何度死んでも治るから?だから何?自分の命の価値を何だと思ってるの?君は便利な盾でもなければ、便利な使い捨ての読心魔法魔導師でもないんだよ」
「…。…分かりました。済みません」
天音君の本気の怒りに、ナジュ君も素直に謝った。
ナジュ君が、一番に狙われるのは分かってる。
そして、天音君の言う通り。
ナジュ君の命は、軽々しく失われて良いものではない。
私もそう思う。
「自分の命を…もっと大事にして」
「…分かりましたって」
何度も念を押す天音君に、今度はジュリス君が。
パンと手を叩いて、仕切り直した。
「おいおい、話が脱線しかけてるぞ。対策はともかく、まずは厄介事を羅列するのが先だろ」
「…そうだったね」
ジュリス君、君はいつも冷静だね。
君がいてくれて良かったよ。
一番冷静でいなければならないはずの私が、一番動揺している今は。
全て話し終えると、ナジュ君は横になったまま頷いた。
「それはまぁ…随分と…厄介なことになりましたね」
「…そうだね」
厄介事が多過ぎて、いちいち確認していられないくらい。
でも、確認しなければならない。情報を共有しなければならない。
「…ちょっと、ホワイトボードお借りしますよ」
「あ、はい…」
イレースちゃんが、医務室のホワイトボードの前に立ち。
黒いマーカーペンを手に取った。
一つずつ、問題を羅列していく。
「はい、一人ずつどうぞ」
「…まずは、敵…レーヴァテインが、羽久と同じ容姿をしていることだね」
私としては、これが一番…心に響く。
羽久を疑ったことなど、私には一度もなかったから。
羽久が私に殺意を向けることなんて、有り得ないと思っていたから。
羽久の姿で私に敵意を向けられて、私は平然としていられるだろうか?
…正直、自信がない。
「敵が味方に変装する…。暗殺では常套手段だけど…」
「こっちがやられる側となると、厄介極まりないよね〜」
と、元暗殺者二人組。
その通りだ。
ここにいる皆、羽久の姿を見て、「敵」と認識する者はいない。
それがいきなり、本物の羽久かどうか分からないとなると。
またしても、レーヴァテインやヴァルシーナちゃんの変装に騙され、撹乱されてしまう。
すると。
「しかし、それは僕がいれば解決しますよね」
ナジュ君が、横になったまま言った。
「レーヴァテインとかいうのも、それを危惧して、まず一番に僕を潰しに来たんでしょう?どれだけ姿形を似せようと、僕の読心魔法の前には無力です」
「…そうだね」
ナジュ君の前に、変装や成りすましは無意味。
姿を見た瞬間、正体がバレてしまう。
しかし。
「当然、レーヴァテインもヴァルシーナも、それは予測してるはずですよ」
イレースちゃんが、ホワイトボードに書きながらそう言った。
「確実に、あなたを警戒して、あなたを引き離し、あなたのいない場所で学院長を狙うでしょう」
「でしょうね〜。ヴァルシーナの狡猾さは、僕もよーく知ってますし。何らかの手段で、僕とレーヴァテインを接触させないようにするでしょうね」
「…それって、またナジュさんを潰して、読心魔法を無効化させるってこと?」
天音君が、眉をひそめて言った。
「それが一番効率良いですし、そうするんじゃないですか?多分僕を一番に潰して、それから学院長を暗殺。いやぁ皆にモテて困りますね僕は」
「…ふざけないでよ」
珍しく、怒った口調だった。
天音君は、ナジュ君を真っ直ぐ睨みつけた。
「不死身だからって、自分の命を軽々しく扱わないで。君の、そういうところは…本当に嫌いだ」
「…」
…天音君。
「いくら壊されたって良い?何度死んでも治るから?だから何?自分の命の価値を何だと思ってるの?君は便利な盾でもなければ、便利な使い捨ての読心魔法魔導師でもないんだよ」
「…。…分かりました。済みません」
天音君の本気の怒りに、ナジュ君も素直に謝った。
ナジュ君が、一番に狙われるのは分かってる。
そして、天音君の言う通り。
ナジュ君の命は、軽々しく失われて良いものではない。
私もそう思う。
「自分の命を…もっと大事にして」
「…分かりましたって」
何度も念を押す天音君に、今度はジュリス君が。
パンと手を叩いて、仕切り直した。
「おいおい、話が脱線しかけてるぞ。対策はともかく、まずは厄介事を羅列するのが先だろ」
「…そうだったね」
ジュリス君、君はいつも冷静だね。
君がいてくれて良かったよ。
一番冷静でいなければならないはずの私が、一番動揺している今は。


