神殺しのクロノスタシス3

「あなたを読むといつもそう。全部自分のせい。それこそ、空が青いのも海が青いのも、地球が丸いのもぜーんぶ自分のせい」

「…」

「僕に悪いことしたと思ってるなら、それはやめてくれませんかね。僕が不死身なのも、読心魔法が得意なのも、それは僕の責任であって、断じてあなたのせいではない」

…それは…。

…そうだけど、でも。

ナジュ君に、余計な苦しみを…。

「…この際だから、ハッキリ言わせてもらいますけどね。…あなた、何様のつもりなんですか?」

「…え?」

横になったままの、ナジュ君の目は。

真剣そのものだった。

その真剣な目で、私を見つめていた。

「あなたは自分のせいで、『カタストロフィ』だのヴァルシーナだの、色んな人に迷惑をかけ、色んな人を苦しめたと思ってる。あなたが羽久さんを殺せなかったせいで」

「…でも、事実でしょ?それって」

「えぇ事実ですね。でも、もしあなたがあのとき、正しい選択をしていたとしても…本当に世界が良い方向に向かったかなんて、そんなの誰にも分からないでしょう」

…それは。

それを…言い出したら、キリがないのでは?

「もっと悪い方に行ってたかもしれない。もっと悲劇的な結末が待っていたかもしれない。世界が良いも悪いも、それは世界の責任であって、あなたのせいじゃない」

「ナジュ君…」

「自惚れないでください。一人で責任背負って、あなたはそれで満足なんでしょうが、自分の責任まであなたに奪われたんじゃ、こっちは堪りませんよ。勝手なことしないでください」

…相変わらず。

容赦ないね、君は。

イレースちゃん並みだよ。

心に響くなぁ…。

「世界の行く末を、たった一人に押し付けるなんて、土台無理な話だったんですよ。それだけの話です」

「…」

「それに…愛は人を狂わせるってこと、僕もよく知ってますからね」

「…君は、そうだね」

苦笑するしかない。

愛に人生狂わされた者同士。

分かり合えるかもしれないね、私達は。

「…ナジュ君」

「何ですか」

「ありがとう。君のお陰で、少し心が楽になった」

「そうですか。それは何より」

「…でも、君に痛い思いをさせてしまったことは…」

「あーはいはい、そういうのはもうどうでも良いんで。そんなしょうもない話より、優先すべきことがあるでしょう?」

…優先すべきこと。

そうだね。

こうなった以上、可及的速やかに…こちらも、対応策を考えなきゃならない。

話し合わなきゃならない。

「そろそろ15分ですね。強行突破される前に、彼らを呼び戻しましょう」

「…分かった」

感傷に浸り、己を責めるのは後回しだ。

それより先に、私達にはやらなければならないことがある。