神殺しのクロノスタシス3

…ナジュ君が「原型」を取り戻したのは、あれから半日以上たってからのことだった。

と言っても、肉体を取り繕っているだけで、「中身」はまだスカスカの状態だ。

それでも。

「んん…。あー、気持ち悪…」

「ナジュ君!」

ようやく彼が目を覚ましたとき、私は安堵せずにはいられなかった。

不死身だとは分かっているけど、それでも、あれだけ肉体を派手に壊されたのだ。

もしかしたら目を覚まさないかも、と危惧していた。

…いや、ナジュ君にとっては、そのまま目を覚まさない方が、幸せだったのかもしれないけど。

「…何ですか皆さん…。皆して僕を取り囲んで…。襲う気でもあるんですか」

「…ないよ…」

皆心配してたんだよ。

天音君と二人で、交代交代で回復魔法をかけ続けて。

ようやく目覚めたんだから。

「良かった…。目を覚ましてくれて」

「はぁ…。別に心配しなくても、僕不死身なんで。放っといてもいつか勝手に再生しますけど…」

そういう問題じゃない。

そういう問題じゃないんだよ。

「あ、中身。中身ないですねこれ。ちょっと誰か僕に、胃と肝臓を分けてもらえませんかね」

そこが再生してないのね。 

「…胃と肝臓だって。どーする『八千代』。誰かからかっぱらってくる?」

「持ってくるのは良いけど、僕達移植手術が出来ないよ」

こら。本気にしない。

誰からかっぱらおうとしてるの。

「…それで?どうなってるんですか」

ナジュ君は、ベッドに横になったまま尋ねた。

「何がどうなってるんですか?羽久さんは生きてるんですか」

「…あなたが質問をするとは珍しいですね。私達の心を読んだんじゃないんですか」

と、イレースちゃん。

「ちょっと今脳みそ不足なので、読心魔法使えないんですよ」

脳みそ不足って。

そんなこともあるんだね。

「僕の欠けた脳みその記憶が正しければ…。僕、羽久さん…の、姿をした偽物に襲われたんですが」

…やっぱり、レーヴァテインに襲われたんだ。

「ん?レーヴァテイン?それがあの偽羽久さんの名前ですか」

…。

「…やっぱり読んでるんじゃない」

「まぁ、脳みそ欠落してても、ある程度は読めるんで」

凄いね。

さすが異例の読心魔法使い。

「で、そのレーヴァテインさんが何だって、僕の挽き肉世界記録を更新してくれたんですか?」

挽き肉世界記録…。

…それ、君以外に更新出来る人、いるの?