神殺しのクロノスタシス3

ナジュ君の部屋は、学院の三階にある。

駆け足でその部屋に向かっていると、突然。

令月君とすぐり君が、ハッとして足を止めた。

「…どうしたの?」

この場で誰よりもよく、血腥いものを知っている二人が、互いに険しい顔を見合わせていた。

「…血の匂いがする」

すぐり君が、静かに言った。

…!

…分かっていたことだ。

本気で、私の暗殺を狙っていたのだとしたら…。

天音君はともかく、ナジュ君は邪魔だ。

あの場にナジュ君がいたら、すぐにでも彼は、羽久が羽久でないことに気づいていただろうから。

だから、天音君は放置されていても、でもナジュ君は…。

一瞬、令月君とすぐり君は、引き返させようかと思った。

もしかしたらこの部屋の向こうは、彼らには見せない方が良いのかもしれないと。

しかし。

二人の目に、少しの怯えも恐怖もなかった。

…そうだね。

君達にとっては、今更どんな悲惨な光景を見せられても。

君達が経験してきたそれに比べれば、何ともないものなのだろう。

彼らは生徒ではあるが、同時に「戦士」でもある。

子供だからという理由で、ここまで来て彼らだけを帰らせる訳にはいかない。

当然、二人も拒否するだろうしね。

「…開けるよ」

私は、ナジュ君の部屋の扉を開けた。

鍵は、掛かっていなかった。

そして。

部屋の中は、私が想像していた通りの光景が広がっていた。