――――――…先程私を殺そうとした「羽久」は、羽久ではなかった。
二十音が作り出した…いや。
ヴァルシーナちゃんが、二十音の身体から「呼び出した」人格。レーヴァテイン。
彼女は私に敵対し、ヴァルシーナちゃんに協力している。
あのメモや、イレースちゃんのお使い等のトラップの意味が、ようやく分かった。
全ては、ヴァルシーナちゃんと、レーヴァテインの仕業だったのだ。
だが、今はそんなことどうでも良い。
二十音が、出てきてしまった。
そちらの方が、余程重要だった。
二十音の放つ殺気は、先程の私とは比較にならない。
二十音はあの二人、レーヴァテインとヴァルシーナちゃんを、完全に私の敵とみなしてしまった。
そして二十音は、私の敵を許さない。
いかなる手段を以てしても…周囲にどれだけ被害が出ようと構わず…。
それこそ、国どころか、世界の秩序を脅かしてでも…私の敵を殺す。
二十音を宥められるのは、私だけだ。
下手に動けば、この部屋にいる…令月君やすぐり君、イレースちゃん、
そして、聖魔騎士団から応援に駆けつけてくれたのであろう、ジュリス君を巻き込むことになる。
長年の勘からか、ジュリス君だけは、自分の気配を静かに消して、二十音を刺激しないようにしていた。
それが有り難かった。
「二十音。おいで」
私は、笑顔であの子に手を伸ばした。
何も怖いことなんてない。
私の敵は、もうここにはいない。
だから、そんなに殺気立つ必要はないのだ。
「…しーちゃん」
「おいで二十音。ぎゅってしてあげるから」
「…!」
二十音は、子供のように私のもとに駆け寄ってきた。
その手に、もう懐中時計は消えていた。
そのことに安堵しながら、私は二十音を抱き締めた。
強く抱き締めた。
「よしよし、良い子だね二十音…」
「…しーちゃん…」
「良いんだよ、何も心配しなくて。私達を脅かすものは何もないから」
二十音は、幸せそうに私の胸に顔を埋めていた。
張り詰めていた殺気が、嘘のように消えていた。
…良かった。
「大丈夫、大丈夫…。良い子だね二十音。良い子、良い子…。よしよし…」
「…」
そうして、しばし二十音の頭を撫でてやっていると。
ガクン、と二十音の身体が私にもたれかかってきた。
…帰ったかな。
「…もう大丈夫だよ」
私は、スースーと寝息を立てる二十音…もう羽久かもしれないが…の身体を抱き起こしながら、皆に伝えた。
二十音が作り出した…いや。
ヴァルシーナちゃんが、二十音の身体から「呼び出した」人格。レーヴァテイン。
彼女は私に敵対し、ヴァルシーナちゃんに協力している。
あのメモや、イレースちゃんのお使い等のトラップの意味が、ようやく分かった。
全ては、ヴァルシーナちゃんと、レーヴァテインの仕業だったのだ。
だが、今はそんなことどうでも良い。
二十音が、出てきてしまった。
そちらの方が、余程重要だった。
二十音の放つ殺気は、先程の私とは比較にならない。
二十音はあの二人、レーヴァテインとヴァルシーナちゃんを、完全に私の敵とみなしてしまった。
そして二十音は、私の敵を許さない。
いかなる手段を以てしても…周囲にどれだけ被害が出ようと構わず…。
それこそ、国どころか、世界の秩序を脅かしてでも…私の敵を殺す。
二十音を宥められるのは、私だけだ。
下手に動けば、この部屋にいる…令月君やすぐり君、イレースちゃん、
そして、聖魔騎士団から応援に駆けつけてくれたのであろう、ジュリス君を巻き込むことになる。
長年の勘からか、ジュリス君だけは、自分の気配を静かに消して、二十音を刺激しないようにしていた。
それが有り難かった。
「二十音。おいで」
私は、笑顔であの子に手を伸ばした。
何も怖いことなんてない。
私の敵は、もうここにはいない。
だから、そんなに殺気立つ必要はないのだ。
「…しーちゃん」
「おいで二十音。ぎゅってしてあげるから」
「…!」
二十音は、子供のように私のもとに駆け寄ってきた。
その手に、もう懐中時計は消えていた。
そのことに安堵しながら、私は二十音を抱き締めた。
強く抱き締めた。
「よしよし、良い子だね二十音…」
「…しーちゃん…」
「良いんだよ、何も心配しなくて。私達を脅かすものは何もないから」
二十音は、幸せそうに私の胸に顔を埋めていた。
張り詰めていた殺気が、嘘のように消えていた。
…良かった。
「大丈夫、大丈夫…。良い子だね二十音。良い子、良い子…。よしよし…」
「…」
そうして、しばし二十音の頭を撫でてやっていると。
ガクン、と二十音の身体が私にもたれかかってきた。
…帰ったかな。
「…もう大丈夫だよ」
私は、スースーと寝息を立てる二十音…もう羽久かもしれないが…の身体を抱き起こしながら、皆に伝えた。


