神殺しのクロノスタシス3

――――――…ジュリスと共に、イーニシュフェルト魔導学院に駆けつけるなり。

俺達は、真っ先に学院長室に飛び込んだ。

「シルナ!」

そして。

そこは、阿鼻叫喚の様相を呈していた。

「…!?」

まず真っ先に、部屋中に張り詰めた強い殺気に、一瞬怯んだ。

暗殺者二人はもとより。

イレースと、そして何よりシルナが放つ殺気が、尋常ではなかった。

そこには、いつもの「優しい学院長」の姿はなかった。

更に。

「…お前…誰だ?」

俺は、俺と全く同じ容貌をしている人間が、シルナの後ろに立っていることに気付いた。

…あれは、誰だ?

いや、俺は…俺だって、本物じゃなくて。

この身体は、俺のものではなく。

俺は偽者で、本物はこの身体の中にいて。

でも、じゃああれは。あの身体の中にいるのは一体、

「落ち着け」

「…!」

ジュリスに肩を掴まれ、俺は我に返った。

「惑わされんな。他人と同じ容姿に擬態するなんて、魔法を使えば簡単だ。そうだろ?」

「…」

…そうだ。

シルナの分身魔法が良い例じゃないか。

それだけじゃなく、幻術でも、擬態でも、魔法を使えばいくらでも方法はある。

だから、あれは…。

「…お前、誰だ。シルナに何しようとしてる」

「…」

「答えろ!」

何をしようとしてるのか。

それは、一目瞭然だった。

「羽久」の手には見覚えのない剣があり、その剣はシルナに向けられていた。

令月と、すぐりに止められているものの。

二人が止めなければ、あの剣はシルナを串刺しにしていたはずだ。

…ふざけるな。

俺の顔をして、俺の姿をして。

お前は、誰に何をしようとしてるんだ!

「誰なんだお前は。『アメノミコト』か、ヴァルシーナの手先…」

「…そう言うお前こそ、誰だ?」

「羽久」が、口を開いた。

…え?