神殺しのクロノスタシス3

「頼むよ、ルイーシュ。学院OBのよしみで」

「…」

無言のルイーシュ。

不機嫌な顔のまま、足を組み、その足を上に肘をついて。

はぁ、と溜め息を漏らした。

覚悟はしていたが、そんな露骨に嫌そうな顔をされると、こっちも落ち込むな。

それを毎回やる気にさせてる、キュレムに尊敬。

「あのさ、ルイーシュ…」

「何で俺は、魔導適性に恵まれてしまったのだろう…」

…。

…なんか語り出したぞ。

「この世には、自分に魔導適性があれば…と悔しがってる人も大勢いるというのに、何故この世で一番働きたくない俺に魔導適性があって、この世で一番魔導適性を活かしたいと思って、でも適性がないから出来ない人々にはないんだろう。これっておかしいですよね。何でこの世界は、こんなに不条理なんだろう…」

「…」

俺、どうしたら良いの?

うんそうだね、不条理な世の中でうんざりするね、って頷けば良いの?

すると、キュレムが。

「これ、ルイーシュが働きたくないときの言い訳、パターンCだから。しばらく語らせといて」

「…そうか」

さすがキュレム。ルイーシュの扱いは天下一。

ってか、パターンCってことは、AとBもあるんだろ?

色々言い訳用意してんだなぁ。

「平凡な、何の変哲もない人間に生まれたかった。いや、何ならその辺の昆虫…いや、昆虫は何かに食べられそうだから嫌だ。植物…植物になりたい。何なら海に浮いてるプランクトンになりたい…」

「あ、パターンDに入った」

まだあるのかよ。

植物もプランクトンも、物によっては食べられるだろ。

ってか、そういう言い訳を口にすることで、ルイーシュなりに己のやる気を向上させているのかもしれない。

「よし決めた。俺は生まれ変わったら、パンダになります。動物園のパンダに生まれて、一生笹食いながら、ダラダラ過ごします」

「はいはい、来世に期待して、今世では真面目に魔導師やれ。な?」

「はー…。しょうがないですね。で、俺に何をやらせようとしてるんですか?」

すかさず口を挟み、ルイーシュをやる気にさせた。

キュレムの手腕に、頭が上がらない。

それだけ苦労してるんだなぁと思うと、涙出そうになるよ。

シルナなんか、まだ可愛い方だな。

キュレムの苦労には、到底及ばない。

とにかく、これでようやく。

本題に入ることが出来る。