神殺しのクロノスタシス3

…数分間に及ぶ、激闘の末。

「はぁ…はぁ…死ぬかと思った…」

シルナ、無事生存。

何とか、二人の元暗殺者の猛攻を凌いだ。

危ないところだったな。

「ちっ、やっぱり駄目だったか…」

「もっと練習しないと無理だね」

「な、何が…?」

シルナ、ガクブル。

何を恐ろしいことを考えてるのかは、知らないが…。

「…おい、ナジュ」

「何ですか」

まずは、コイツを問い詰めないことには始まらない。

「お前、すぐりに…いや、この二人に何を吹き込んだ?」

「人聞きが悪いですねー。僕は二人の青春を応援してるだけですよ」

何だと?

シルナを奇襲することの、何が青春なんだ?

もっと追及してやろうと思ったら、ナジュは俺をスルーして、令月とすぐりに向かって話し始めた。

「あなた達、連携取れてなさ過ぎですよ。ぶっちゃけ、二人で掛かってこられるより、一人で掛かってこられる方が怖いんですが」

「う…」

「連携して戦う訓練とか、してなかったんですか?…あ、良いですよ答えなくて。全然してないんですね」

ナジュの質問に、いちいち答える必要はない。

答えを口にするまでもなく、心を読まれるからだ。

「暗殺任務は、原則一人で行うから…。実力の違う者同士が組んだら、足手まといになるって…」

「もし複数人での任務が来ても、お互いの手の内は明かさないのが基本なんだから。しょーがないでしょ」

「ふーん…。それで、その壊滅的な連携のなさ…。足引っ張りまくってますもんね、今」

「…」

言い返せずに黙る二人。

すると、すぐりが令月を睨んだ。

「『八千代』が悪いんだよ。俺がちゃんと糸で足場作ってあげてるのに、利用するどころか、それに引っ掛かって転びそーになってるし」

「それは…悪かったけど、でも、あんな透明な糸じゃ見えないし、あんなに細い糸が、本当に足場になるのか心配で、つい…」

「なーに?俺の糸が信用出来ないってこと?」

「信用出来ないとまでは言わないけど、正直…ない方が自由に動ける」

「じゃー一緒に組んでる意味ないじゃん!」

口喧嘩が始まってるんだけど。

だが、この会話で分かったことがある。

「…二人共、和解したのか?」

「見ての通りですよ」

と、ナジュ。

指差す先で、二人は秘密の内緒話でもするように話し合っていた。

「だから、『八千代』は機動力だけは優れてるんだから、俺の糸で足場を作って、空中戦でも対応出来るように…」

「それは分かってるけど、上手く糸の上に乗れないんだよ。そもそも、糸が透明で見えづらい」

「そこは妥協してよ。色つけたら、ここに飛びますよって宣言してるよーなもんじゃん」

「あと、踏み外したらどうしようって不安が…」
 
「そのくらい踏み外すなよ!」

…言い合ってはいるが、昨日までのような、刺々しさはない。

むしろ、友人と作戦を練っているかのような…。

「それ、当たりですよ」

ナジュが、俺に向かって言った。

「当たり…?」

「つまり、このお二人は、仲直りどころか…仲良しになることに決めたそうです」

「…!」

この報告には。

俺も、シルナも、びっくりだった。