…次に、目が覚めたとき。
僕は、イーニシュフェルト魔導学院の医務室にいた。
「…生きて…る?」
もしや、身体が死体として横たわっているだけで。
魂だけ、幽霊としてふわりと浮き上がるんじゃないかと思ったが。
腕を上げると、ちゃんと自分の身体もついてきた。
…生きてそう。
すると。
「目が覚めた?」
「…天音先生…」
白衣姿の天音先生が、そこに立っていた。
「良かった。意識が戻ったみたいだね」
「…」
つまり、僕は。
生き残った、ってことだ。
よくもまぁ、あの状況から生還出来たものだ。
死んだと思ったから。毒を受けたとき。
「解毒…出来たんだ」
「うん。ちょっと時間かかっちゃったけど。毒は完全に身体から抜けたから。もう大丈夫」
「…」
回復魔法専門魔導師、恐るべし。
「今…今は何時?」
「夜だよ。深夜。あれからもう、12時間以上たってる」
本当に凄いね。
たった12時間で、体内の毒全てを解毒するなんて。
『アメノミコト』もびっくり。
もっとびっくりしてるのは、多分『八千歳』だろうな。
あ、そうだ。
「『八千歳』は…?」
「『八千歳』?」
「僕が戦ってた相手…」
「あの子、そんな名前だったんだ」
本名ではないと思うけど。
僕も本名は知らない。『八千歳』はただのコードネームだ。
それより。
「『八千歳』は…生きてるの?」
もう、始末しちゃった?
それとも自決したか?
「生きてるよ。学院長室にいる。君より軽傷だったから、シルナ学院長が治しちゃった」
…そうなんだ。
何故だか、ホッとしている自分がいた。
僕は、『八千歳』を殺そうとした。
殺すつもりだった。
でも、殺したかった訳じゃない。
生きているのなら、良かった。
あぁ、でも『八千歳』にとっては…。
あのまま僕に殺されていた方が、幸せだったのかもしれない。
「…会える?会いに行って良い?」
「駄目」
却下された。
「令月君がそう言うと思って、学院長先生から伝言を預かってるよ」
「伝言…?」
「『一つ、怪我が治るまでは大人しくしてなさい』」
はい。
一つってことは、二つ目もあるってことだな。
「『二つ、お説教はその後です』以上」
はい。
やっぱり説教されるんだ。
「そんな訳で、僕が見張り役。出血も酷かったし、毒のせいで身体も弱ってる。少なくとも、あと丸一日は大人しくしてないと駄目」
「…長いなぁ…」
「長くても、我慢しなきゃ駄目。逃げ出さないように見張ってるからね。分かった?」
「…それ、我慢したら、後で『八千歳』に会わせてもらえる?」
「さぁ。我慢出来たら、考えてくれるんじゃないかな?」
…おのれ。
無理矢理抜け出したいところだが、天音先生がぴったりくっついて、にこにこと見張っているせいで、それも出来そうにない。
それどころか。
「もし逃げ出したら、今度は学院長に、さっき使った魔法の枷で、ベッドに縛ってもらうから」
「…おのれ…」
最悪の脅しだ。
今度、「新しい保健室の先生に脅された」って、魔導教育委員会に訴状を出してやろう。
僕は、イーニシュフェルト魔導学院の医務室にいた。
「…生きて…る?」
もしや、身体が死体として横たわっているだけで。
魂だけ、幽霊としてふわりと浮き上がるんじゃないかと思ったが。
腕を上げると、ちゃんと自分の身体もついてきた。
…生きてそう。
すると。
「目が覚めた?」
「…天音先生…」
白衣姿の天音先生が、そこに立っていた。
「良かった。意識が戻ったみたいだね」
「…」
つまり、僕は。
生き残った、ってことだ。
よくもまぁ、あの状況から生還出来たものだ。
死んだと思ったから。毒を受けたとき。
「解毒…出来たんだ」
「うん。ちょっと時間かかっちゃったけど。毒は完全に身体から抜けたから。もう大丈夫」
「…」
回復魔法専門魔導師、恐るべし。
「今…今は何時?」
「夜だよ。深夜。あれからもう、12時間以上たってる」
本当に凄いね。
たった12時間で、体内の毒全てを解毒するなんて。
『アメノミコト』もびっくり。
もっとびっくりしてるのは、多分『八千歳』だろうな。
あ、そうだ。
「『八千歳』は…?」
「『八千歳』?」
「僕が戦ってた相手…」
「あの子、そんな名前だったんだ」
本名ではないと思うけど。
僕も本名は知らない。『八千歳』はただのコードネームだ。
それより。
「『八千歳』は…生きてるの?」
もう、始末しちゃった?
それとも自決したか?
「生きてるよ。学院長室にいる。君より軽傷だったから、シルナ学院長が治しちゃった」
…そうなんだ。
何故だか、ホッとしている自分がいた。
僕は、『八千歳』を殺そうとした。
殺すつもりだった。
でも、殺したかった訳じゃない。
生きているのなら、良かった。
あぁ、でも『八千歳』にとっては…。
あのまま僕に殺されていた方が、幸せだったのかもしれない。
「…会える?会いに行って良い?」
「駄目」
却下された。
「令月君がそう言うと思って、学院長先生から伝言を預かってるよ」
「伝言…?」
「『一つ、怪我が治るまでは大人しくしてなさい』」
はい。
一つってことは、二つ目もあるってことだな。
「『二つ、お説教はその後です』以上」
はい。
やっぱり説教されるんだ。
「そんな訳で、僕が見張り役。出血も酷かったし、毒のせいで身体も弱ってる。少なくとも、あと丸一日は大人しくしてないと駄目」
「…長いなぁ…」
「長くても、我慢しなきゃ駄目。逃げ出さないように見張ってるからね。分かった?」
「…それ、我慢したら、後で『八千歳』に会わせてもらえる?」
「さぁ。我慢出来たら、考えてくれるんじゃないかな?」
…おのれ。
無理矢理抜け出したいところだが、天音先生がぴったりくっついて、にこにこと見張っているせいで、それも出来そうにない。
それどころか。
「もし逃げ出したら、今度は学院長に、さっき使った魔法の枷で、ベッドに縛ってもらうから」
「…おのれ…」
最悪の脅しだ。
今度、「新しい保健室の先生に脅された」って、魔導教育委員会に訴状を出してやろう。


