…それでも。
『八千歳』が腹を割って話そうとしてくれてるのは、伝わってくるから。
じゃあ僕も、腹を割って話そう。
「…まず、たくさん魔法使えて羨ましい」
「…あぁ…魔導適性のことね…」
ムカッ。
「ほら、その顔」
「は?」
「何だ魔導適性のことか、って『八千歳』は軽く思ってるのかもしれないけど、僕はその魔導適性の有無だけだも、充分『八千歳』が妬ましいよ」
「…」
そう、妬ましい。
羨ましい。憧れる。
「色んな魔法使えて羨ましい。僕はいつだって、同じ戦い方しか出来ない。『八千歳』は何もなくても糸を出せるけど。僕は刀がないと何も出来ないのに」
刀がなかったら、僕、どうやって戦うの。
徒手空拳しかないじゃないか。
『八千歳』みたいな器用な魔導師相手じゃ、良いカモにされてしまう。
「それと、学校にすぐ溶け込めたのが羨ましい。部活なんて、僕は入ったことない。どの部活に入って良いのかも分からない」
「あれは…たまたまクラスメイトがいたから…」
何それ。
「僕にだってクラスメイトはいるよ。部活に誘われたこともあるけど…よく分からなくて、断った。だって僕は、他の生徒達と違って、ちゃんとした魔導適性がある訳じゃないんだから」
いつだって、「コイツ、力魔法しか使えないの?」って気づかれるんじゃないかと怯えてる。
皆優秀な魔導師の卵なのに、僕は力魔法しか使えない。
『八千歳』なんて、自分で魔法を編み出してる。
そんなこと、僕には出来ない。羨ましい。
僕にもそんな力があれば。
守られるだけじゃなくて、もっと強くなって、学院長達の為に戦えるのに。
「それに、『八千歳』は物知りだよ」
「…何処が?」
「花や野菜の育て方を知ってる」
「…それは園芸部に入ったからだよ。そうでもなきゃ、俺だって野菜の育て方なんて…」
「それに、学校に溶け込むのも早かった。僕、特定の友達なんていないよ」
「…いや、でも…俺も、ツキナ以外に友達はいないよ?」
でも、一人いるじゃん。
僕なんか、一人もいないのに。
ユイトは、ルームメイトであって、友達って関係じゃないし。
「僕は『八千歳』が羨ましい。『八千歳』は僕が羨ましいのかもしれないけど、僕だって『八千歳』が羨ましい。『八千歳』は充分強くて優秀なのに、『八千歳』が僕より下だって、勝手に自分を卑下してるのがムカつく」
「…」
「自分の方が劣ってるなんて、そう思うのはやめて。僕は君が劣等感を抱く度に、惨めな気分になるんだ」
僕は、『八千歳』を羨ましがらせるものなんて持ってない。
それなのに『八千歳』は、自分の方が劣ってると思い込んでる。
やめて欲しい。
僕だって、本当は大して強くもないのに。
『八千歳』の方が、ずっと強くなれる可能性を持ってて、僕にとっては脅威なのに。
いつ追い抜かれるんだろう。『八千歳』は僕よりずっと先に行ってしまうんだろう、って思うと。
「…妬ましいよ、君が」
昔から、ずっとそうだった。
僕が歩みを止めたら、君はあっという間に僕を越えてしまうだろう。
だから僕は走り続けた。
僕を追い抜いて、走っていく君の背中を見つめていることしか出来なくなるのが、怖かった。
そう思うと。
あまりに惨めで、悔しかったから。
『八千歳』が腹を割って話そうとしてくれてるのは、伝わってくるから。
じゃあ僕も、腹を割って話そう。
「…まず、たくさん魔法使えて羨ましい」
「…あぁ…魔導適性のことね…」
ムカッ。
「ほら、その顔」
「は?」
「何だ魔導適性のことか、って『八千歳』は軽く思ってるのかもしれないけど、僕はその魔導適性の有無だけだも、充分『八千歳』が妬ましいよ」
「…」
そう、妬ましい。
羨ましい。憧れる。
「色んな魔法使えて羨ましい。僕はいつだって、同じ戦い方しか出来ない。『八千歳』は何もなくても糸を出せるけど。僕は刀がないと何も出来ないのに」
刀がなかったら、僕、どうやって戦うの。
徒手空拳しかないじゃないか。
『八千歳』みたいな器用な魔導師相手じゃ、良いカモにされてしまう。
「それと、学校にすぐ溶け込めたのが羨ましい。部活なんて、僕は入ったことない。どの部活に入って良いのかも分からない」
「あれは…たまたまクラスメイトがいたから…」
何それ。
「僕にだってクラスメイトはいるよ。部活に誘われたこともあるけど…よく分からなくて、断った。だって僕は、他の生徒達と違って、ちゃんとした魔導適性がある訳じゃないんだから」
いつだって、「コイツ、力魔法しか使えないの?」って気づかれるんじゃないかと怯えてる。
皆優秀な魔導師の卵なのに、僕は力魔法しか使えない。
『八千歳』なんて、自分で魔法を編み出してる。
そんなこと、僕には出来ない。羨ましい。
僕にもそんな力があれば。
守られるだけじゃなくて、もっと強くなって、学院長達の為に戦えるのに。
「それに、『八千歳』は物知りだよ」
「…何処が?」
「花や野菜の育て方を知ってる」
「…それは園芸部に入ったからだよ。そうでもなきゃ、俺だって野菜の育て方なんて…」
「それに、学校に溶け込むのも早かった。僕、特定の友達なんていないよ」
「…いや、でも…俺も、ツキナ以外に友達はいないよ?」
でも、一人いるじゃん。
僕なんか、一人もいないのに。
ユイトは、ルームメイトであって、友達って関係じゃないし。
「僕は『八千歳』が羨ましい。『八千歳』は僕が羨ましいのかもしれないけど、僕だって『八千歳』が羨ましい。『八千歳』は充分強くて優秀なのに、『八千歳』が僕より下だって、勝手に自分を卑下してるのがムカつく」
「…」
「自分の方が劣ってるなんて、そう思うのはやめて。僕は君が劣等感を抱く度に、惨めな気分になるんだ」
僕は、『八千歳』を羨ましがらせるものなんて持ってない。
それなのに『八千歳』は、自分の方が劣ってると思い込んでる。
やめて欲しい。
僕だって、本当は大して強くもないのに。
『八千歳』の方が、ずっと強くなれる可能性を持ってて、僕にとっては脅威なのに。
いつ追い抜かれるんだろう。『八千歳』は僕よりずっと先に行ってしまうんだろう、って思うと。
「…妬ましいよ、君が」
昔から、ずっとそうだった。
僕が歩みを止めたら、君はあっという間に僕を越えてしまうだろう。
だから僕は走り続けた。
僕を追い抜いて、走っていく君の背中を見つめていることしか出来なくなるのが、怖かった。
そう思うと。
あまりに惨めで、悔しかったから。


