神殺しのクロノスタシス3

「…」

なんとも、気不味い空気になったが。

じゃあ、ここで。

「はい!じゃあクイズ大会を開催します」

「…は?」

「どっちが優れてるか当てるゲームです。幼稚園児でも分かる問題なんで、間違えないで下さいね」

「いや、ちょっと待って。いきなり何始めよーとしてんの?」

だから、クイズ大会。

「問題その1」

ででん。

「クラスメイトが一人、寝坊で授業に遅刻しました。このクラスメイトを叱るのに適してるのは、学院長とイレースさん、どちらでしょう?」

「…」

「制限時間つき。はい、5、4、3…」
 
「それは…イレースせんせーでしょ」

「何でそう思ったんですか?」

「だって、学院長は叱らないじゃん。絶対甘やかすし…」

ですよねー。

あの人なら、寝坊で遅刻しました、って生徒が言ったら。

「そうなの?うん、いっぱい寝るのは良いことだ!成長期だからね!たまには寝坊するのも仕方ない!私もよくする!」とか言いそう。

一方のイレースさんだったら…。

…うん。

雷一撃で済めば良いね。

「正解です。では第2問」

ででん。

「時魔法が得意なのは、羽久さんと天音さん、どちらでしょう」

「いや…それは羽久せんせーでしょ…」

「何でそう思ったんですか?」

「何でって…。羽久せんせー、いつも使ってるじゃん、時魔法…。それに、天音せんせーは回復魔法担当でしょ?」

大正解。

「じゃあ第3問。僕と学院長、どちらが生徒達に人気の教師でしょうか?」

「…」

「…何で悩んでるんですか。そこは僕でしょ」

即答しなさいよ。何で悩む。
 
「いや…どっちも人気じゃない?」
 
そう来たか。

ちっ。そろそろ僕が学院トップの座を頂戴したと思っていたが、まだ足りてないらしいな。

まぁ、それならそれでも良い。
 
「じゃあ、第4問」

「まだやるの…?」 

「令月さんとすぐりさん、どちらがより優れているでしょうか?」

「…」

途端に、すぐりさんの顔が固くなった。

この問題は…制限時間なしで。

「…知らないよ。どうせ『八千代』でしょ」

そっぽを向いて、すぐりさんが答えた。

残念、不正解。

「じゃ、質問の仕方を変えましょう。令月さんとすぐりさん、力魔法が得意なのはどちらでしょう」

「…そんなの、『八千代』じゃん」

「正解。じゃ、毒魔法が得意なのは?」

「…それは…」

すぐりさんだよね。

「炎魔法が、氷魔法が、水魔法が得意なのはどちらでしょう」

「…」

これもすぐりさんだよね。

「早くもクラスメイトに好きな女の子を作って、部活に入って、学園生活に…年相応の『普通の』生活に、先に適応したのはどちらでしょう」

「…」

「昔の因縁はさておき、同郷の仲間と新たな関係を築きたいと、前向きに考えてるのは?」

「…」

「昔の価値観に囚われて、頑なにあんな奴嫌いだ、って言い続け、差し伸べられた手を振り払い続けてるのは?」

「…」

「実は二人共、負けず劣らず優秀で、優劣なんて教師達でさえ決められないのに、それに気づかず、自分は役立たずと思い込んでるのは誰でしょう?」

「…」

…はい。

時間切れ。

幼稚園児でも分かる問題のはずなのに、答えられないとは。