神殺しのクロノスタシス3

「で、この肉に何すればいーの?」

「さっきの玉ねぎを入れる」
  
「ほい」

合い挽き肉の中に、先程炒め…炭になった玉ねぎを投入。

赤と黒が合わさって、全然食欲がそそられない。

「それから?」

「卵と牛乳とパン粉を入れる」

「ふーん」

すぐりは、冷蔵庫から卵と牛乳、パン粉を取り出し。

「これ、何の卵なんだろーね」

「分かんない。鳥類の卵だったら良いね」

鶏だよ馬鹿。

しかも、すぐり。

卵を入れる、をそのままの意味だと解釈したらしく。

卵を割らずに、殻ごと丸々ぶち込んだ。

おい。割れよ何してんの。

もう、その時点でツッコミどころ満載なのに。

「で、牛乳…っと」

牛乳パックの容器を、すぐりの魔法で作った糸で一刀両断。

おい。その牛乳パック、ちゃんと開け口あるだろうが。

開け口も無視するな。

しかも、分量も気にせず、ドボボボと大量に投入。

赤と黒が、白い海に浸かった。

そこに、丸い卵がぷかりと浮いていた。

カオス。

ボウルの中がカオス。

「で、パン粉…何でパン粉なんかいるんだろーね」

「分かんない。そういう食べ物なんでしょ、きっと」

「ふーん」

とか言いながら、またしても分量無視して、パン粉を一袋、丸々投入。

白い海に、小麦色の無人島が出来た。

誰かこいつらに、分量を計るということを教えてやってくれ。 

書いてあるだろレシピに。何で無視してるの?

「そこに、塩コショウとナツメグを入れるって」

「ふーん」

ふーんじゃなくて、分量。

塩もドサッ、コショウもドサッ、ナツメグはパラパラ。

目分量にも程があるだろ。

あれ何味?何味の食べ物が完成するの?

しょっぱいのか?それとも辛いのか?

あ、ちなみに。

さっきから、シルナが全然喋ってないけど。

ちゃんと横にいるよ。ただ、あのナジュ考案デスソース入りチョコに、舌をやられたらしく。

未だに悶えてる。

あの読心馬鹿教師、もうクビにしようぜ。