神殺しのクロノスタシス3

三人が、揃って床に敷いたゴザの上に横たわる。

…盗み見ておきながら、なんだけど。

凄い光景だな。

「あー、何が嬉しくて、男二人と同じ床に…。リリス…リリスの膝の上が恋しい…」

ナジュはブツブツ文句言ってるし。

「全くだよー…。何が嬉しくて、『八千代』なんかと同じ床に…」

すぐりもブツブツ文句言ってるし。

「…zzz…」

令月は、パジャマパーティーの趣旨さえ理解していなかった。

もう寝てる。早い。

「馬鹿と何とかは寝るのが早いってね」

すぐり、何そのことわざ。

聞いたことないんだけど?ジャマ王国特有?

「ちょっと令月さん、起きてくださいよ。さすがに早過ぎでしょ」

「…?何が…?」

「パジャマパーティーは、ここからが楽しいんじゃないですか」

男三人のパジャマパーティーなんて、見たことないけどな。

「…?何すれば良いの?」

「俺も、何するのか聞いてないんだけど。わざわざ同じ部屋で寝て、何するの?」

「あー、あなた達、本ッ当に分かってませんねー」

ジャマ王国には、パジャマパーティーの文化はないのかもしれない。

と言うか、あったとしても、それが『アメノミコト』で採用されることは、まずなかったのだろう。

「野郎三人と言えど、夏の夜に集まって、夜中に何をするかなんて、決まってるじゃないですか」

「何?悪巧み?」

悪巧み?

「おっ、良いですね〜悪巧み。何します?」

「何しても良いの?」

「この際だから、楽しい悪巧み考えましょうよ」

…あのさぁ。

お喋りが始まったのは良いんだけど。

こいつら、何の相談してんの?

「まず、誰に悪巧みするの?『八千代』?」

「えっ、ターゲット、僕?」

「いや、本人の前で悪巧みしても意味ないでしょ。ここはこの場にいない人間への嫌がらせを…とりあえず、学院長に悪戯する方法でも考えましょうか」

「えっ!」

今の「えっ!」は、シルナである。

「学院長に悪巧み?」

「何するの?髪の毛にガムでもつける?」

「すぐりさん、あなた良い線行ってますね〜!筋が良いですよ」

「えぇっ!?ガム!?ガムつけられるの私!?」

…シルナ、一人で超パニック。

精々、背中には気をつけるんだな。

「でも、もっと面白いことがありますよ」

「面白いこと?」

「学院長秘蔵のチョコに、こっそりデスソースを仕込む」

ナジュ、最高に良い笑顔で、最低なことを提案。

シルナ、戦慄。

「そして、悶えてる様を写真に撮って、新聞部にタレ込む」

ますます最低。

お前は、生徒に何をやらせようとしてるんだよ。

「仲良くなるには、共同作業、それもこういうことは、楽しいことより悪どいことする方が、親睦も深まりますからね〜。深夜にこっそり悪巧みの相談!最高の仲良しプロジェクトですよ」

「…」

シルナ、ガクブル。

「じゃあ、すばしっこい『八千代』が、デスソース仕込んできてよ。俺がその間に、糸を遠隔操作して写真撮るから」

「分かった」

そして、全く拒否しない元暗殺者二人組。
 
シルナは、必死の形相で秘蔵のチョコを隠していた。

…まぁ、あれだシルナ。

ナジュをこの計画に引き摺り込んだ、自分を恨めよ。