神殺しのクロノスタシス3

「学年は違うけど、普通に学校で出会ってたら、普通に友達になれてたんじゃないかな。それを、過去の因縁が邪魔してるだけで…」

「…ふむ。確かにすぐりさん、未だに令月さんと会うときは、心の中に令月さんへの劣等感…敗北感みたいなのが、ちらほら見えてますからね」

そうなのか。

まぁ…そうだろうな。

あれだけ長い間、すぐりは令月のことを、ずっと目の敵にしてきた。

おまけに、その令月と一対一で決闘を仕掛け…敗北した。

すぐりとしては、そんな相手と仲良くなりなさいと言われても、すんなり仲良くなれるはずがない。

すぐりの中には、きっと延々と、あのときの敗北感がついて回っているのだ。

もう忘れても良いと思うんだけどなぁ。

「僕もそう思いますよ。僕だって学院長と羽久さんにボロ負けしましたが、そんなこととっくにどうでも良いですし」

どうでも良いどころか、平気で心読んでくる仲になってるもんな。

「それに、負けたと言っても、それはあのときそうだったってだけで…。もう一回勝負したら、案外どっちが勝つか分からないのでは?」

「でしょうね。元々あの二人、実力はほとんど拮抗していますし」

俺もそう思う。

あのときすぐりが負けたのは、すぐりが実力不足だったから、という理由だけじゃない。

と言うか、単なる時の運…と言っても過言ではないと思う。

それくらい、実力は拮抗しているのだ。

あとは、相性の問題だ。

すぐりはあの自由自在の糸とワイヤーで、近中遠距離、どれも対応してるが。

どちらかと言うと、離れて戦い、毒を塗った糸で敵を絡め取る、遠距離戦向きのタイプ。

対する令月は、言うまでもなく超近距離戦闘向き。

一度懐に入られたら、すぐりには為す術がない。

ってか、俺でも多分為す術がない。

時を止めてワンチャン、ってところか?

そんな、戦闘スタイルも魔導適性の違いも異なる二人を比べ、優劣をつけるのは間違っている。

しかし。

その間違った方法で、二人に優劣をつけ続けた存在がいる。

思い出したくもない、あの忌まわしい鬼頭夜陰という男が、元凶だ。

未だにすぐりは、恐らく無意識に、あの男の価値観に囚われたままなのだ。