僕と『八千歳』との攻防は続いていた。
『八千歳』の武器は、糸だ。
『八千歳』が、自身の魔法で作り出した糸。
長さも太さも速さも、彼の思いのまま。
あの糸に触れられたら、腕でも足でも首でも、バターのように切られる。
だから僕は、『八千歳』が繰り出す無数の糸を掻い潜り、あるいは小太刀で両断しながら、彼に接近しなければならなかった。
おまけに。
「!」
目の前に現れた『八千歳』の糸を両断しようとして、僕は手を止め。
両断する代わりに、身を屈めてかわした。
あれは切ってはいけない。
毒だ。
『八千歳』は、僕とは違う。
僕のように、偏った魔導適性の持ち主ではない。
炎魔法だろうが氷魔法だろうが、『アメノミコト』お得意の毒魔法だろうが。
自在に操ることが出来る。
自身の作り出した糸に、毒魔法を練り込むことも出来るのだ。
毒を練り込んだ糸を切れば、小太刀を通して、僕の身体にも毒が回る。
どの糸に何が練り込まれているのか、見極めながら戦わなくては。
そして僕には、それが出来る。
『八千歳』は、木々の密集した地形を活かし、自分の身を隠しながら、無数の透明な糸を張り巡らせていた。
…見極めろ。
『八千歳』の糸を切り刻むにつれ、昔の勘が戻ってくるのを感じていた。
怖くない。
こんな糸、怖くもなんともない。
「…弱いね」
僕は、無数に張り巡らされた糸の、小さな隙間を潜り抜け。
力魔法で強化した斬撃で、全ての糸を切り刻んだ。
そして。
気配を辿り、見つけた先の木を斬り倒した。
そこに、『八千歳』がいた。
「…へぇ」
全ての糸を切られたにも関わらず、『八千歳』は少しも臆していなかった。
「さすがに衰えてはいないようだね、安心したよ」
「そういう君は、何の進歩もしてないのかな?相変わらず、貧弱な糸しか使えてないみたいだけど」
普通の人間を殺すなら、充分でも。
同じく蟲毒を生き延びた仲なら、こんなものは恐れるに足りない。
「まさか。半年もぬくぬく遊んでた君と、一緒にしないでくれるかな」
そう言うなり、『八千歳』の十本の指から、無数の糸が放出された。
さっきよりも格段に速い。
でも、対応しきれない速度ではない。
僕は両手の小太刀を振り回して、一本ずつ捌いていった。
この程度なら…。
…と、思ったそのとき。
「あぐっ…!」
グサリ、と。
背中に、何かが突き刺さった。
痛みに顔をしかめながら、僕は更なる殺気を感じて振り向き。
今にも突き刺さろうとしていたもう一本を、かろうじて両断した。
しかし。
「はぁ…はぁ…」
先程突き刺さった一本目の糸。
何だったんだ、あれは。
「…驚いた?」
『八千歳』は、両手に一本ずつ、長い糸…いや、ワイヤーのようなものを生やしていた。
これは…初見の技だ。
『八千歳』の武器は、糸だ。
『八千歳』が、自身の魔法で作り出した糸。
長さも太さも速さも、彼の思いのまま。
あの糸に触れられたら、腕でも足でも首でも、バターのように切られる。
だから僕は、『八千歳』が繰り出す無数の糸を掻い潜り、あるいは小太刀で両断しながら、彼に接近しなければならなかった。
おまけに。
「!」
目の前に現れた『八千歳』の糸を両断しようとして、僕は手を止め。
両断する代わりに、身を屈めてかわした。
あれは切ってはいけない。
毒だ。
『八千歳』は、僕とは違う。
僕のように、偏った魔導適性の持ち主ではない。
炎魔法だろうが氷魔法だろうが、『アメノミコト』お得意の毒魔法だろうが。
自在に操ることが出来る。
自身の作り出した糸に、毒魔法を練り込むことも出来るのだ。
毒を練り込んだ糸を切れば、小太刀を通して、僕の身体にも毒が回る。
どの糸に何が練り込まれているのか、見極めながら戦わなくては。
そして僕には、それが出来る。
『八千歳』は、木々の密集した地形を活かし、自分の身を隠しながら、無数の透明な糸を張り巡らせていた。
…見極めろ。
『八千歳』の糸を切り刻むにつれ、昔の勘が戻ってくるのを感じていた。
怖くない。
こんな糸、怖くもなんともない。
「…弱いね」
僕は、無数に張り巡らされた糸の、小さな隙間を潜り抜け。
力魔法で強化した斬撃で、全ての糸を切り刻んだ。
そして。
気配を辿り、見つけた先の木を斬り倒した。
そこに、『八千歳』がいた。
「…へぇ」
全ての糸を切られたにも関わらず、『八千歳』は少しも臆していなかった。
「さすがに衰えてはいないようだね、安心したよ」
「そういう君は、何の進歩もしてないのかな?相変わらず、貧弱な糸しか使えてないみたいだけど」
普通の人間を殺すなら、充分でも。
同じく蟲毒を生き延びた仲なら、こんなものは恐れるに足りない。
「まさか。半年もぬくぬく遊んでた君と、一緒にしないでくれるかな」
そう言うなり、『八千歳』の十本の指から、無数の糸が放出された。
さっきよりも格段に速い。
でも、対応しきれない速度ではない。
僕は両手の小太刀を振り回して、一本ずつ捌いていった。
この程度なら…。
…と、思ったそのとき。
「あぐっ…!」
グサリ、と。
背中に、何かが突き刺さった。
痛みに顔をしかめながら、僕は更なる殺気を感じて振り向き。
今にも突き刺さろうとしていたもう一本を、かろうじて両断した。
しかし。
「はぁ…はぁ…」
先程突き刺さった一本目の糸。
何だったんだ、あれは。
「…驚いた?」
『八千歳』は、両手に一本ずつ、長い糸…いや、ワイヤーのようなものを生やしていた。
これは…初見の技だ。


