学院で、不死身先生が怒りの炎を燃やしていることも知らず。
僕は、指定のポイントに辿り着いていた。
国境に近い、深い森の奥だ。
…成程。
ここなら、近隣住民に見られることもない。
下手に市街地で戦えば、住民に通報される可能性がある。
人気のない場所なら、周りを巻き込まずに済む。
僕としても、有り難い「気遣い」だ。
こんな無益な戦いに、誰一人巻き込みたくはない。
「…ちゃんと一人で来たね、偉いよ『八千代』」
「『八千歳』…」
彼もまた、同じく黒装束に、黒いマントを身に付けて、そこに立っていた。
準備万端、ってところか。
お互いに。
「…もう一人の姿が見えないけど」
来てるんじゃないのか。相棒が。
「彼は周囲を見張ってもらってる。横槍を入れられたら堪らないからね」
「…そう」
周囲に、『八千歳』以外の人間の気配を感じない。
本当に、もう一人は戦いに介入する気はないらしい。
助かる。
正真正銘、本当の一騎討ちだ。
「…じゃあ、始めようか『八千代』。とうとう、俺の方が君より上だと証明を…」
「…随分おめでたい頭だね」
「…何?」
段々と。
段々と、自分の中に黒いものが広がっていくのが分かった。
かつての、『アメノミコト』頭領付き親衛隊、『終日組』にいた頃の自分に戻っていくのを感じた。
「分からない?『八千歳』、君には僕と違って魔導適性がある。僕みたいに偏ったものじゃなくて、本物の魔導適性が。それなのに、どうして僕の方が頭領様のお気に入りだったと思ってるの?」
「…!」
「答えは単純、魔導適性の優劣を含めても、僕の方が優秀だったからだよ」
『八千歳』の殺気が、爆発的に膨れ上がった。
恐怖は感じなかった。
「それとも、半年暗殺稼業から離れて、僕が鈍ってると思って油断してる?本当におめでたいね。元々僕の方が、君より優秀なんだから。せめてそれくらいハンデがないと、君に勝ち目はないよね」
「…ふふ」
ゆらり、と『八千歳』の糸が揺らめいた。
来る。
音速で放たれたその糸を、僕は小太刀で両断した。
「…本当に…癪に障るよ君は…」
糸を防がれた『八千歳』は、怒りに震える声でそう言った。
「やっぱり君は…俺が殺さなきゃ気が済まない…」
「そう」
そっちがその気なら、それで良いよ。
「…やってみなよ。出来るなら、ね」
僕は、指定のポイントに辿り着いていた。
国境に近い、深い森の奥だ。
…成程。
ここなら、近隣住民に見られることもない。
下手に市街地で戦えば、住民に通報される可能性がある。
人気のない場所なら、周りを巻き込まずに済む。
僕としても、有り難い「気遣い」だ。
こんな無益な戦いに、誰一人巻き込みたくはない。
「…ちゃんと一人で来たね、偉いよ『八千代』」
「『八千歳』…」
彼もまた、同じく黒装束に、黒いマントを身に付けて、そこに立っていた。
準備万端、ってところか。
お互いに。
「…もう一人の姿が見えないけど」
来てるんじゃないのか。相棒が。
「彼は周囲を見張ってもらってる。横槍を入れられたら堪らないからね」
「…そう」
周囲に、『八千歳』以外の人間の気配を感じない。
本当に、もう一人は戦いに介入する気はないらしい。
助かる。
正真正銘、本当の一騎討ちだ。
「…じゃあ、始めようか『八千代』。とうとう、俺の方が君より上だと証明を…」
「…随分おめでたい頭だね」
「…何?」
段々と。
段々と、自分の中に黒いものが広がっていくのが分かった。
かつての、『アメノミコト』頭領付き親衛隊、『終日組』にいた頃の自分に戻っていくのを感じた。
「分からない?『八千歳』、君には僕と違って魔導適性がある。僕みたいに偏ったものじゃなくて、本物の魔導適性が。それなのに、どうして僕の方が頭領様のお気に入りだったと思ってるの?」
「…!」
「答えは単純、魔導適性の優劣を含めても、僕の方が優秀だったからだよ」
『八千歳』の殺気が、爆発的に膨れ上がった。
恐怖は感じなかった。
「それとも、半年暗殺稼業から離れて、僕が鈍ってると思って油断してる?本当におめでたいね。元々僕の方が、君より優秀なんだから。せめてそれくらいハンデがないと、君に勝ち目はないよね」
「…ふふ」
ゆらり、と『八千歳』の糸が揺らめいた。
来る。
音速で放たれたその糸を、僕は小太刀で両断した。
「…本当に…癪に障るよ君は…」
糸を防がれた『八千歳』は、怒りに震える声でそう言った。
「やっぱり君は…俺が殺さなきゃ気が済まない…」
「そう」
そっちがその気なら、それで良いよ。
「…やってみなよ。出来るなら、ね」


