「丁度良かった〜!会いたかったところなんだよ〜!」
シルナ、歓喜。
「あの、羽久さん。これは…?」
大はしゃぎで抱擁を交わすシルナに、困惑するクュルナ。
セクハラだよ。
「ごめんな、クュルナ…。今夏休みだからさ…。シルナが暇を持て余して…」
「あ、あ〜…。成程…」
本当ごめんな。
「そうですか…。まぁ、私は羽久さんに会えるなら何でも…」
何かボソボソ呟いていたが、よく聞こえなかった。
そんな下らねぇ理由で来るなよ、と愚痴っているのだろうか。
「クュルナ?」
「え、はい?」
「今何か言ったか?」
邪魔だから帰れ馬鹿学院長、と言いたいなら言っても良いんだぞ。
引っ張って連れて帰るから。
しかし。
「い、いえ。何でもありません」
…?
「邪魔だったら帰るけど…」
「そんな、邪魔なんて…。とんでもないです…。私はむしろ…」
むしろ…?
「あっ、そ、そうだ。あれから、ナジュさんの様子はどうですか?記憶障害がぶり返したりは?」
あぁ。
そうだ、クュルナは、ナジュが意識を失い、その後記憶障害を患ったとき。
聖魔騎士団の医療チームのリーダーとして、学院に来てくれたんだよな。
あのときは本当にありがとう。
「今のところ元気だよ」
元気過ぎて、もう少し大人しくしておいて欲しいくらい。
「そうですか…。それは良かったです」
ホッとした表情のクュルナ。
「でも…油断はしないでくださいね。読心魔法の使用をやめた訳ではないんでしょう?」
「あぁ。毎日毎日、会う人会う人の心を読みまくってるよ」
あいつの悪癖だからな。
やめろと言ってもやめんのだ。
「そうですか…。精神にこれ以上影響が出る前に…出来れば使用しない方が良いんですけどね」
「…やめろとは言ってるんだけどな…」
「…ここだけの話、良いですか?」
クュルナが、声を潜めて言った。
「うん?」
「私あの後、王立図書館で調べてみたんです。読心魔法について」
「えっ」
俺だけでなく、シルナも食いついた。
「それで分かったんですが、読心魔法は指定要注意魔法の中でも、かなり稀な魔法らしいですね」
だろうな。
「私も長いこと生きてるけど…。読心魔法の使い手には、ほとんど会ったことがないもんなぁ…」
と、シルナ。
無駄に長生きしてるシルナがこう言うのだから、そうなのだろう。
「その中でも、ナジュ君は別格だね。私が今まで会った読心魔法の使い手は、ナジュ君みたいに、一瞬で読心することは出来なかった」
マジで?
更に、クュルナも。
「そうなんです。本来なら、読心の前に充分集中力を高め、落ち着いた場所で、静かに相手の目を見て…充分に瞑想して、そしてようやく、相手の心の片鱗が見える…。その程度の魔法でしかなかったんです」
マジで言ってるの?それ。
普段のナジュを見てみろ。
息をするかのように、人の心を読んでは弄んでるぞ。
しかも、心の片鱗…なんて、可愛いもんじゃない。
ガッツリ全部読んできやがる。
「それでも、読心魔法を使える魔導師はごく少数です。時魔法や空間魔法とは、また別格の…生まれながらの才覚がなければ、使えない魔法のようです」
「だろうな…」
読心魔法の使い手なんて、俺もナジュが初めてだったのだから。
あんなのが何人も何人も、いてたまるか。
「ですから、複数人同時読心や、読心魔法の対策に関する記述がある魔導書は、残念ながら見つかりませんでした」
「…そうだったのか…」
「済みません。何か分かれば伝えようと思っていたんですが…。何の役にも立てず…」
「何言ってるんだ。それだけ調べてくれただけでも、充分だよ」
それに、充分役に立つ情報を得られた。
つまりそれって、あれだろ?
ルーチェス・ナジュ・アンブローシアという人間は。
生まれながらに、天才級の読心魔法の使い手だってことだろう?
シルナ、歓喜。
「あの、羽久さん。これは…?」
大はしゃぎで抱擁を交わすシルナに、困惑するクュルナ。
セクハラだよ。
「ごめんな、クュルナ…。今夏休みだからさ…。シルナが暇を持て余して…」
「あ、あ〜…。成程…」
本当ごめんな。
「そうですか…。まぁ、私は羽久さんに会えるなら何でも…」
何かボソボソ呟いていたが、よく聞こえなかった。
そんな下らねぇ理由で来るなよ、と愚痴っているのだろうか。
「クュルナ?」
「え、はい?」
「今何か言ったか?」
邪魔だから帰れ馬鹿学院長、と言いたいなら言っても良いんだぞ。
引っ張って連れて帰るから。
しかし。
「い、いえ。何でもありません」
…?
「邪魔だったら帰るけど…」
「そんな、邪魔なんて…。とんでもないです…。私はむしろ…」
むしろ…?
「あっ、そ、そうだ。あれから、ナジュさんの様子はどうですか?記憶障害がぶり返したりは?」
あぁ。
そうだ、クュルナは、ナジュが意識を失い、その後記憶障害を患ったとき。
聖魔騎士団の医療チームのリーダーとして、学院に来てくれたんだよな。
あのときは本当にありがとう。
「今のところ元気だよ」
元気過ぎて、もう少し大人しくしておいて欲しいくらい。
「そうですか…。それは良かったです」
ホッとした表情のクュルナ。
「でも…油断はしないでくださいね。読心魔法の使用をやめた訳ではないんでしょう?」
「あぁ。毎日毎日、会う人会う人の心を読みまくってるよ」
あいつの悪癖だからな。
やめろと言ってもやめんのだ。
「そうですか…。精神にこれ以上影響が出る前に…出来れば使用しない方が良いんですけどね」
「…やめろとは言ってるんだけどな…」
「…ここだけの話、良いですか?」
クュルナが、声を潜めて言った。
「うん?」
「私あの後、王立図書館で調べてみたんです。読心魔法について」
「えっ」
俺だけでなく、シルナも食いついた。
「それで分かったんですが、読心魔法は指定要注意魔法の中でも、かなり稀な魔法らしいですね」
だろうな。
「私も長いこと生きてるけど…。読心魔法の使い手には、ほとんど会ったことがないもんなぁ…」
と、シルナ。
無駄に長生きしてるシルナがこう言うのだから、そうなのだろう。
「その中でも、ナジュ君は別格だね。私が今まで会った読心魔法の使い手は、ナジュ君みたいに、一瞬で読心することは出来なかった」
マジで?
更に、クュルナも。
「そうなんです。本来なら、読心の前に充分集中力を高め、落ち着いた場所で、静かに相手の目を見て…充分に瞑想して、そしてようやく、相手の心の片鱗が見える…。その程度の魔法でしかなかったんです」
マジで言ってるの?それ。
普段のナジュを見てみろ。
息をするかのように、人の心を読んでは弄んでるぞ。
しかも、心の片鱗…なんて、可愛いもんじゃない。
ガッツリ全部読んできやがる。
「それでも、読心魔法を使える魔導師はごく少数です。時魔法や空間魔法とは、また別格の…生まれながらの才覚がなければ、使えない魔法のようです」
「だろうな…」
読心魔法の使い手なんて、俺もナジュが初めてだったのだから。
あんなのが何人も何人も、いてたまるか。
「ですから、複数人同時読心や、読心魔法の対策に関する記述がある魔導書は、残念ながら見つかりませんでした」
「…そうだったのか…」
「済みません。何か分かれば伝えようと思っていたんですが…。何の役にも立てず…」
「何言ってるんだ。それだけ調べてくれただけでも、充分だよ」
それに、充分役に立つ情報を得られた。
つまりそれって、あれだろ?
ルーチェス・ナジュ・アンブローシアという人間は。
生まれながらに、天才級の読心魔法の使い手だってことだろう?


