神殺しのクロノスタシス3

僕が、定められたポイントに向けて駆け出している、丁度その頃。

僕に伝言を託された、ユイト・ランドルフ君は。

無事授業前に、教室に辿り着いて…、




…いなかった。

彼は、一時間目の授業が行われる教室には向かっていなかった。

代わりに。

実技授業が行われる、稽古場にいた。

こんな時間に稽古場になんていたら、一時間目のイレース先生の授業には、間違いなく間に合わない。

脳天に雷必至。

それなのに、彼はそこにいた。

何故か。

その理由は簡単だった。

彼には、イレース先生の授業よりも大事なものがあったからだ。

すると、そこに。

「…何をやってるんですか」

「…ナジュ…先生」

僕は知らなかった。

ユイト・ランドルフ君の言う、前のルームメイトが。

他ならぬ、このルーチェス・ナジュ・アンブローシアであることを。

「令月が…令月が、今朝…」

ユイト君は、自分の授業をサボってまで、不死身先生に会いに来た。

その理由は、ひとえに、

「あぁ…。成程、はいはい。言わなくて良いですよ」

不死身先生は、笑顔だった。

「報告ありがとうございます。自分の授業に戻って良いですよ」

「でも…」

「遅刻のことなら、イレースさんには、ちゃんと怒らないよう言っときますから。それと…」

「…それと?」

「あの、人の言うこと一ミリも聞かない悪ガキについては、僕達に任せてください。本当、超ありがとうございました」

ユイト・ランドルフ君は、何も言えなかった。

見たこともないくらい、不死身先生の顔が笑顔だったからである。

…真っ黒の。