「…」
学生鞄を持って、部屋を出ていこうとしたユイト君は。
ふと、足を止めた。
…?
「…?どうしたの?遅刻するよ」
「…なぁ、令月」
ユイト君は、不安そうな顔でこちらを振り向いた。
「本当に、具合悪いんだよな?」
「…え?」
いや…具合は悪くないけど。
でも…何で。
「何か…隠し事してる訳じゃないよ、な?」
僕は一瞬、ドキリとした。
何でそんなことを…。
「…隠し事?何で?」
「前の…俺の、前のルームメイトがそうだったんだよ」
前の…ルームメイト?
去年のってこと?
「隠し事して…。一人で抱え込んで…。俺はそれに気づけなくて、凄く後悔したことがあるんだ…」
「…」
「だから、もうあんな思いはしたくない…。令月、本当に…具合が悪いんだよな?」
「…」
…そう。
そんなことがあったの。
「…変なこと言うね、ユイト君」
そんなことがあったから、今度こそはルームメイトを助けようと、そう思ってくれてるんだね。
本当に…この学院の生徒達と来たら…。
「何も隠し事なんてしてない。本当に具合が悪いだけだよ」
だからこそ。
巻き込む訳にはいかないのだ。
こんな優しい人達を、僕なんかのせいで、傷つける訳にはいかないのだ。
「…分かった」
「早く行きなよ。本当に遅刻するよ」
「…うん。行ってくる」
「行ってらっしゃい」
君が帰ってくる頃には。
ちゃんと、全部終わらせておくから。
僕は、ベッドの中に忍ばせた小太刀を握り締めた。
学生鞄を持って、部屋を出ていこうとしたユイト君は。
ふと、足を止めた。
…?
「…?どうしたの?遅刻するよ」
「…なぁ、令月」
ユイト君は、不安そうな顔でこちらを振り向いた。
「本当に、具合悪いんだよな?」
「…え?」
いや…具合は悪くないけど。
でも…何で。
「何か…隠し事してる訳じゃないよ、な?」
僕は一瞬、ドキリとした。
何でそんなことを…。
「…隠し事?何で?」
「前の…俺の、前のルームメイトがそうだったんだよ」
前の…ルームメイト?
去年のってこと?
「隠し事して…。一人で抱え込んで…。俺はそれに気づけなくて、凄く後悔したことがあるんだ…」
「…」
「だから、もうあんな思いはしたくない…。令月、本当に…具合が悪いんだよな?」
「…」
…そう。
そんなことがあったの。
「…変なこと言うね、ユイト君」
そんなことがあったから、今度こそはルームメイトを助けようと、そう思ってくれてるんだね。
本当に…この学院の生徒達と来たら…。
「何も隠し事なんてしてない。本当に具合が悪いだけだよ」
だからこそ。
巻き込む訳にはいかないのだ。
こんな優しい人達を、僕なんかのせいで、傷つける訳にはいかないのだ。
「…分かった」
「早く行きなよ。本当に遅刻するよ」
「…うん。行ってくる」
「行ってらっしゃい」
君が帰ってくる頃には。
ちゃんと、全部終わらせておくから。
僕は、ベッドの中に忍ばせた小太刀を握り締めた。


