―――――――…一方、調理室では。
僕の作った料理を取り分けて、生徒達が食べ始めていた。
…すぐりさんを除いて、だが。
「何やってるんですか。ほら、あなたの為に用意したんですよ」
「…」
「あなたに食べてもらわなきゃ困るんですが」
「…俺、騙されないよ」
…はい?
「この料理さ…。メニューは豊富だけど…共通点あるよね」
ほう。
やはり気づくか。
ってか、気づいてもらわなければ困るのだが。
「全部にさー…。ナス、入ってるよね?」
「…ふふ」
ここにいる生徒のうち、すぐりさん以外の何人が気づいただろう。
このテーブルに乗っている料理には、全てナスが入っている。
それぞれ、姿形を変えて。
グラタンに使ったミートソースには、挽肉と共に刻んだナスが仕込んであるし。
ハンバーグにも、肉ダネの中に、玉ねぎと刻んだナスが仕込んである。
コロッケも同様。マッシュしたじゃがいもの中に、刻んだナスを仕込ませた。
ラタトゥイユやカレーにも、煮込んでトロトロになったナスが入ってあるし。
ピザに乗っているナスは、上にたっぷりチーズをかけることで、姿を隠している。
そう。
ここにある料理は全部、すぐりさんのナス嫌いを克服する為のメニューなのだ。
どれも細かく刻むか、他に味の強いものでナスの風味を誤魔化すか、原型を留めないほど煮込むことによって。
少しでも、食べやすさを向上させてみた次第である。
「涙ぐましいでしょう?ナス嫌いの生徒の為に、ここまでする教師なんて、僕の他にいませんよ」
「…とか言いながら、自分の株もちゃっかり上げてる癖にねー…」
ジトーッと、すぐりさんは僕を睨んだ。
心外だ。睨まれる筋合いはないですね。
ナスステーキに、ナスそのまんまの煮浸しを出しても良かったんだよ?
でも、ナス嫌いのすぐりさんの為を思ったからこそ。
こうして姿を変えて、食べやすいように工夫したのだ。
時間かかったんだぞ?
「って言うか、ナジュせんせーに、こんな特技があったとはねー…」
「でしょ?自分でも自分の才能に驚いてます。多分前世でも、嫁が破壊的な料理下手だったから、代わりに僕が料理上手になったんだろうなぁ」
ありがとう、前世の僕と嫁。
君達のお陰で、僕は未だに料理上手です。
さて、それはさておき。
「かなり『ナスっぽさ』は消えてるはずなんで」
「…」
「まぁ、試しに食べてみてくださいよ。騙されたと思って」
「…でもなー、俺、『騙されるな、疑え』って教育受けてきたから…」
あー、そうなんだっけ。
これだから、素直じゃない生徒は。
「ツキナさんの笑顔、見なくて良いんですか」
「…!」
ハッと顔を上げるすぐりさん。
更に。
「美味しい!」
「ナジュ先生、これ凄く美味しいですよ!」
「うまっ…。何だこれ、めっちゃ美味い」
通りすがりの生徒達、目を輝かせて絶賛。
な?
自分の才能に戦慄ですよ。
「だ、そうですよ。あなたもどうぞ」
「ううぅ…」
「これも、ツキナさんの笑顔の為の第一歩です。さぁ、踏み出すのです。愛する人の為に」
「…分かったよ」
渋々。
すぐりさんは、テーブルについた。
僕の作った料理を取り分けて、生徒達が食べ始めていた。
…すぐりさんを除いて、だが。
「何やってるんですか。ほら、あなたの為に用意したんですよ」
「…」
「あなたに食べてもらわなきゃ困るんですが」
「…俺、騙されないよ」
…はい?
「この料理さ…。メニューは豊富だけど…共通点あるよね」
ほう。
やはり気づくか。
ってか、気づいてもらわなければ困るのだが。
「全部にさー…。ナス、入ってるよね?」
「…ふふ」
ここにいる生徒のうち、すぐりさん以外の何人が気づいただろう。
このテーブルに乗っている料理には、全てナスが入っている。
それぞれ、姿形を変えて。
グラタンに使ったミートソースには、挽肉と共に刻んだナスが仕込んであるし。
ハンバーグにも、肉ダネの中に、玉ねぎと刻んだナスが仕込んである。
コロッケも同様。マッシュしたじゃがいもの中に、刻んだナスを仕込ませた。
ラタトゥイユやカレーにも、煮込んでトロトロになったナスが入ってあるし。
ピザに乗っているナスは、上にたっぷりチーズをかけることで、姿を隠している。
そう。
ここにある料理は全部、すぐりさんのナス嫌いを克服する為のメニューなのだ。
どれも細かく刻むか、他に味の強いものでナスの風味を誤魔化すか、原型を留めないほど煮込むことによって。
少しでも、食べやすさを向上させてみた次第である。
「涙ぐましいでしょう?ナス嫌いの生徒の為に、ここまでする教師なんて、僕の他にいませんよ」
「…とか言いながら、自分の株もちゃっかり上げてる癖にねー…」
ジトーッと、すぐりさんは僕を睨んだ。
心外だ。睨まれる筋合いはないですね。
ナスステーキに、ナスそのまんまの煮浸しを出しても良かったんだよ?
でも、ナス嫌いのすぐりさんの為を思ったからこそ。
こうして姿を変えて、食べやすいように工夫したのだ。
時間かかったんだぞ?
「って言うか、ナジュせんせーに、こんな特技があったとはねー…」
「でしょ?自分でも自分の才能に驚いてます。多分前世でも、嫁が破壊的な料理下手だったから、代わりに僕が料理上手になったんだろうなぁ」
ありがとう、前世の僕と嫁。
君達のお陰で、僕は未だに料理上手です。
さて、それはさておき。
「かなり『ナスっぽさ』は消えてるはずなんで」
「…」
「まぁ、試しに食べてみてくださいよ。騙されたと思って」
「…でもなー、俺、『騙されるな、疑え』って教育受けてきたから…」
あー、そうなんだっけ。
これだから、素直じゃない生徒は。
「ツキナさんの笑顔、見なくて良いんですか」
「…!」
ハッと顔を上げるすぐりさん。
更に。
「美味しい!」
「ナジュ先生、これ凄く美味しいですよ!」
「うまっ…。何だこれ、めっちゃ美味い」
通りすがりの生徒達、目を輝かせて絶賛。
な?
自分の才能に戦慄ですよ。
「だ、そうですよ。あなたもどうぞ」
「ううぅ…」
「これも、ツキナさんの笑顔の為の第一歩です。さぁ、踏み出すのです。愛する人の為に」
「…分かったよ」
渋々。
すぐりさんは、テーブルについた。


