神殺しのクロノスタシス3

翌日。

僕は、恋に患う少年すぐりを、調理室に呼び出した。

え?何で魔導学院なのに調理室があるのかって?

気にしない気にしない。

すぐりさんだけじゃ、なんか生徒を贔屓しているように思われるので。

とりあえず、通りすがりの生徒を何人か捕まえて、調理室に呼んだ。

これぞ学院長式、生徒の勧誘法。

そして、すぐりさん含め、通りすがりの生徒を呼んだ、その理由は。

「はい、皆さん出来ましたよー」

「…うわぁ…」

生徒達は、感嘆の声をあげた。

調理台の上には、僕が手ずから作った手料理の皿が乗っていた。

ほかほかと湯気を立てるグラタンに、チーズたっぷりのピザ。

ルーを使わずに作ったカレー、崩れるほど煮込んだラタトゥイユ。

デミグラスソース付きハンバーグに、ちょっと趣向を変えて、一口サイズのコロッケ。

上記の料理、全部僕が作ったんですよ?

ちょっと凄くないですか?

ちょっとどころか、だいぶ凄くないですか?

「これ、どうしたんですか?ナジュ先生」

生徒の一人が、目を丸くして聞いた。

よくぞ聞いてくれた。

「ふふ、実は僕、料理得意なんですよ。久々に、ちょっと自慢の腕前を披露しようかなと思いまして」

嘘ではない。

長いこと、死に場所を求めて彷徨っていたから、忘れていたが。

実は僕、リリスと融合する前は、割と料理上手だったのだ。

まぁ、魔導師だから、食事の必要はほとんどなかったんだが。

リリスが、あまりに破壊的な自称「料理上手」だったもので。

自分の胃袋と命を守る為に、自然に上手くなりました。

「一人じゃ食べ切れないので、皆さんどうぞ」

「わぁ〜…凄い!」

「美味しそう!」

「ナジュ先生、何でも得意なんですね!」

歓喜する生徒達。

ふふふ。

これでまた、僕の株が急上昇。

震えるが良い、学院長。

市販の菓子でしか生徒を釣れない、あなたの時代は終わった。

これからは、自ら手料理を振る舞うイケメン教師の時代が幕を開けるのだ。