「…やっぱり、それしかないと思う?」
ほら、やっぱりすぐりさんも気づいてるじゃないか。
「ないと思いますけど」
クラスメイトに配る…とか、近所の人にお裾分けする…とか。
方法がない訳ではないものの。
ツキナさん、誰かに配るより先に、自分達で料理して食べる気満々なんだろう?
だったら、もう駄目だ。
「大体、熟す時期になるまで黙ってたのが悪いんですよ」
「ぎくっ…」
もっと早くに、カミングアウトしてれば良かったのだ。
何なら、苗を植える頃から。
「実は俺、ナス駄目なんだー」って。さらっと。
そうしたらツキナさんだって、ちゃんと配慮してくれたはずだ。
自分が見栄を張って、虚勢を張って、取り返しがつかなくなったこの時期になるまで、黙ってるから。
ツキナさんはきっと、今か今かとナスの収穫期を待つのに夢中で。
その横で、ナス枯れてくれないかな、と顔面蒼白で考えてるすぐりさんがいることなんて、気づいてないだろう。
そもそも、基本的に、あのツキナ・クロストレイという女子生徒。
言わなきゃ、絶対気づかないからな。
何なら、僕が床でミンチになってても、気にせず「罰掃除行こっ!」とか言ってたくらいだから。
そのノリで、きっと言ってくるよ。
手作りのナス料理持って。
「すぐり君、ナス食べよっ」って。
そのときになって、今更「やっぱり無理です」は、あまりに気の毒だろう。
だったら、さっさとカミングアウトしておくべきだったのだ。
今からでも…いや、もう既に充分遅いけど。
「実は…」って、カミングアウトしても良いと思うが。
少なくとも、収獲するまで黙ってるのは良くないと思うぞ。
こういうのは、後回しにすればするほど、傷が深くなるからな。
人生の教訓だ。
「言えば良いじゃないですか。『ナス駄目なんだ』って」
「えぇ〜…。無理だよ。ツキナ、あんなに楽しみにしてるのに…。そんな水を差すようなこと…」
「…」
何この人。我儘。
「絶対悲しむよ。『そうなんだ…』ってショック受けるよ。そして、一人で食べるには多過ぎるナスを前に、『これ、どうしよっか…』って項垂れるんだよ。そんな姿を見られないよ!」
何この人。面倒くさ。
「知りませんよ。ずっと黙ってるからそんなことになるんでしょ」
「あーもう!どーしたら良いのさ!」
「カミングアウトが嫌なら、克服するしかないですね」
「…」
すぐりさんは、「正気か?」みたいな目でこちらを見た。
それはこっちの台詞ですよ。
「あなたがナスを克服すれば、ツキナさんの笑顔を守れますよ」
「うぐぐ…。やはりそうするしかないのか…。世界は無情だなぁー…」
全くですよ。
「好きな女の子の為なら、どんな努力でもするのが、男ってものじゃないですか」
「…!」
「少なくとも、白馬の王子様になるよりは、ナスを克服する方が、遥かに楽だと思いますが」
すぐりさんは。
覚悟を決めたように、頷いた。
「分かった、分かったよ。俺、挑むよ。ナスに」
「はい。頑張って下さい」
「そこでナジュせんせー、乗りかかった船と思って、手伝って」
…。
…面倒くさ。
しかし。
「…分かりましたよ」
僕も、鬼じゃないからな。
好きな女の子の笑顔を守りたい、その気持ちは、僕もよく分かる。
だったら、協力してあげようじゃないか。
そして、ここに。
すぐりさん、ナス克服作戦という。
恐らく世界で一番下らない、
しかし僕達にとっては、世界で一番大切な計画が、始動した。
…それは良いとして。
「…手伝ってあげるんで、そこにある小テスト、僕の代わりに採点してくれません?」
「え〜?…しっかたないな…模範解答何処だよ」
「そこ。引き出しの中。その間に僕、リリスとイチャついてくるので」
「この自堕落教師」
「僕に頼ったのが間違いでしたね。ナス嫌い生徒」
じゃ、そんな訳なので。
僕、リリスのとこに行ってきまーす。
ほら、やっぱりすぐりさんも気づいてるじゃないか。
「ないと思いますけど」
クラスメイトに配る…とか、近所の人にお裾分けする…とか。
方法がない訳ではないものの。
ツキナさん、誰かに配るより先に、自分達で料理して食べる気満々なんだろう?
だったら、もう駄目だ。
「大体、熟す時期になるまで黙ってたのが悪いんですよ」
「ぎくっ…」
もっと早くに、カミングアウトしてれば良かったのだ。
何なら、苗を植える頃から。
「実は俺、ナス駄目なんだー」って。さらっと。
そうしたらツキナさんだって、ちゃんと配慮してくれたはずだ。
自分が見栄を張って、虚勢を張って、取り返しがつかなくなったこの時期になるまで、黙ってるから。
ツキナさんはきっと、今か今かとナスの収穫期を待つのに夢中で。
その横で、ナス枯れてくれないかな、と顔面蒼白で考えてるすぐりさんがいることなんて、気づいてないだろう。
そもそも、基本的に、あのツキナ・クロストレイという女子生徒。
言わなきゃ、絶対気づかないからな。
何なら、僕が床でミンチになってても、気にせず「罰掃除行こっ!」とか言ってたくらいだから。
そのノリで、きっと言ってくるよ。
手作りのナス料理持って。
「すぐり君、ナス食べよっ」って。
そのときになって、今更「やっぱり無理です」は、あまりに気の毒だろう。
だったら、さっさとカミングアウトしておくべきだったのだ。
今からでも…いや、もう既に充分遅いけど。
「実は…」って、カミングアウトしても良いと思うが。
少なくとも、収獲するまで黙ってるのは良くないと思うぞ。
こういうのは、後回しにすればするほど、傷が深くなるからな。
人生の教訓だ。
「言えば良いじゃないですか。『ナス駄目なんだ』って」
「えぇ〜…。無理だよ。ツキナ、あんなに楽しみにしてるのに…。そんな水を差すようなこと…」
「…」
何この人。我儘。
「絶対悲しむよ。『そうなんだ…』ってショック受けるよ。そして、一人で食べるには多過ぎるナスを前に、『これ、どうしよっか…』って項垂れるんだよ。そんな姿を見られないよ!」
何この人。面倒くさ。
「知りませんよ。ずっと黙ってるからそんなことになるんでしょ」
「あーもう!どーしたら良いのさ!」
「カミングアウトが嫌なら、克服するしかないですね」
「…」
すぐりさんは、「正気か?」みたいな目でこちらを見た。
それはこっちの台詞ですよ。
「あなたがナスを克服すれば、ツキナさんの笑顔を守れますよ」
「うぐぐ…。やはりそうするしかないのか…。世界は無情だなぁー…」
全くですよ。
「好きな女の子の為なら、どんな努力でもするのが、男ってものじゃないですか」
「…!」
「少なくとも、白馬の王子様になるよりは、ナスを克服する方が、遥かに楽だと思いますが」
すぐりさんは。
覚悟を決めたように、頷いた。
「分かった、分かったよ。俺、挑むよ。ナスに」
「はい。頑張って下さい」
「そこでナジュせんせー、乗りかかった船と思って、手伝って」
…。
…面倒くさ。
しかし。
「…分かりましたよ」
僕も、鬼じゃないからな。
好きな女の子の笑顔を守りたい、その気持ちは、僕もよく分かる。
だったら、協力してあげようじゃないか。
そして、ここに。
すぐりさん、ナス克服作戦という。
恐らく世界で一番下らない、
しかし僕達にとっては、世界で一番大切な計画が、始動した。
…それは良いとして。
「…手伝ってあげるんで、そこにある小テスト、僕の代わりに採点してくれません?」
「え〜?…しっかたないな…模範解答何処だよ」
「そこ。引き出しの中。その間に僕、リリスとイチャついてくるので」
「この自堕落教師」
「僕に頼ったのが間違いでしたね。ナス嫌い生徒」
じゃ、そんな訳なので。
僕、リリスのとこに行ってきまーす。


