翌朝。
朝食の時間になる、10分前。
僕は、すやすやと眠るユイト君の寝顔を見下ろした。
起床時間を告げるクラシック音楽が流れても、彼は起きなかった。
彼が寝坊助だからじゃない。
僕が昨夜打った、薬のせいだ。
微量のつもりだったのだが、薬物耐性のないユイト君にとっては、少し多かったみたいだ。
彼を遅刻させるのは可哀想なので、起こすことにする。
「起きて」
「むぐっ…!?」
ユイト君の鼻を摘まむと、彼は目を白黒させながら覚醒した。
「れ、令月…?」
「おはよう」
「え、え!?今何時?」
「朝ご飯の時間」
「えぇぇ!」
自分が寝坊したことに気づいたらしい。
ごめんね。それ、僕のせい。
「ね、寝過ごした…!令月も、起こしてくれれば良かったのに」
「だから、今起こしたよ」
「あ、そうか。ありがとう…」
「どういたしまして」
君を寝坊させたのは、僕だけどね。
「やべ、急がないと…!今日一限、イレース先生なんだよ…!もし遅刻したら…」
「あー…」
あの人なら、脳天に雷落とされてもおかしくないね。
ますますごめんね。そうとも知らずに寝坊させて。
「…ん?令月は何でまだここにいるんだ?」
急いで着替えながら、ユイト君が聞いた。
そうだね。
いつもなら、とっくに朝食を終えて、教室に直行してる時間だもんね。
でも、今日は駄目なんだ。
「僕、今日風邪気味」
「えっ」
「だから、僕に近寄らない方が良いよ」
「あ、いや…。大丈夫?」
心配してくれるんだ。
優しいね。
ユイト君に限らず、この学院の生徒達は、皆優しい。
こんな優しい人達を、一人でも殺させる訳にはいかない。
僕なんかの為に。
「熱はないと思うけど、クラスメイトに感染したら悪いし。今日は実技授業もないから、休む」
「そうか…。仕方ないな」
「それで悪いんだけど、三年Bクラスの生徒に、誰でも良いから、『令月は体調悪いから休む』って伝えてくれないかな」
「分かった。伝えておくよ」
「ありがと」
自分も遅刻しそうなのに、頼み事を聞いてくれるんだ。
本当に優しいね。
「それじゃ、ゆっくり休めよ。具合悪くなったら、ちゃんと医務室も行って」
「うん、そうする」
優しい、良い人達だ。
だから…絶対死なせないよ。
朝食の時間になる、10分前。
僕は、すやすやと眠るユイト君の寝顔を見下ろした。
起床時間を告げるクラシック音楽が流れても、彼は起きなかった。
彼が寝坊助だからじゃない。
僕が昨夜打った、薬のせいだ。
微量のつもりだったのだが、薬物耐性のないユイト君にとっては、少し多かったみたいだ。
彼を遅刻させるのは可哀想なので、起こすことにする。
「起きて」
「むぐっ…!?」
ユイト君の鼻を摘まむと、彼は目を白黒させながら覚醒した。
「れ、令月…?」
「おはよう」
「え、え!?今何時?」
「朝ご飯の時間」
「えぇぇ!」
自分が寝坊したことに気づいたらしい。
ごめんね。それ、僕のせい。
「ね、寝過ごした…!令月も、起こしてくれれば良かったのに」
「だから、今起こしたよ」
「あ、そうか。ありがとう…」
「どういたしまして」
君を寝坊させたのは、僕だけどね。
「やべ、急がないと…!今日一限、イレース先生なんだよ…!もし遅刻したら…」
「あー…」
あの人なら、脳天に雷落とされてもおかしくないね。
ますますごめんね。そうとも知らずに寝坊させて。
「…ん?令月は何でまだここにいるんだ?」
急いで着替えながら、ユイト君が聞いた。
そうだね。
いつもなら、とっくに朝食を終えて、教室に直行してる時間だもんね。
でも、今日は駄目なんだ。
「僕、今日風邪気味」
「えっ」
「だから、僕に近寄らない方が良いよ」
「あ、いや…。大丈夫?」
心配してくれるんだ。
優しいね。
ユイト君に限らず、この学院の生徒達は、皆優しい。
こんな優しい人達を、一人でも殺させる訳にはいかない。
僕なんかの為に。
「熱はないと思うけど、クラスメイトに感染したら悪いし。今日は実技授業もないから、休む」
「そうか…。仕方ないな」
「それで悪いんだけど、三年Bクラスの生徒に、誰でも良いから、『令月は体調悪いから休む』って伝えてくれないかな」
「分かった。伝えておくよ」
「ありがと」
自分も遅刻しそうなのに、頼み事を聞いてくれるんだ。
本当に優しいね。
「それじゃ、ゆっくり休めよ。具合悪くなったら、ちゃんと医務室も行って」
「うん、そうする」
優しい、良い人達だ。
だから…絶対死なせないよ。


