神殺しのクロノスタシス3

「地球が丸いのも、空が青いのも。学院長が浪費家なのも生徒が赤点取るのも、全部あなたのせいですか?違うでしょう」

「イレースさん…」

「地球が丸いのは地球の勝手。空が青いのも空の勝手。学院長が浪費家なのは学院長が馬鹿だからで、生徒が赤点を取るのは生徒の勉強不足です。何もかもあなたのせいに出来るんなら、毎月請求書が来る度に、私が学院長を燃やしに行きたい衝動に駆られる必要はないんですよ」

…だな。

「えっ…。イレースちゃん?え?毎月?毎月燃やされかけてる?私、毎月燃えるゴミにされる危機に晒されてるの?え?」

シルナは困惑しているが、まぁ無視しておこう。

「あなたがあのとき、自分の目的に必死だったのは、皆知ってます。未来のことなんて、考える余裕はなかったことも」

「…」

そりゃそうだ。

ナジュは、その未来を終わらせる為に生きていたのだから。

未来のことなんて、考えていたはずがない。

ヴァルシーナが心に仮面を被っていようと、本心を隠していようと。

ナジュにとっては、どうでも良いことだった。

目的が成し遂げられるなら、それで良かった。

まさか、死ぬ為に生きていた自分が、やっぱり気が変わって生きることになりました、なんて。

過去の自分に言ったって、多分信用してなかっただろうし。

「…ありがとうございます」

ナジュは、少し安心したように答えた。

さては、まーた自責の念に駆られていたな?

「あのとき既に、読心魔法の弱点を自覚していたら…」とか何とか。

未来予知でも出来ない限り、そんなの無理に決まってるだろ。

後悔なんて、いくらしても良い。

大事なのは、同じ後悔を二度と繰り返さないことだ。

「…ちょっと名言でしたね、今」

「うるせぇ。さっさと話を進めろ」

お前の読心魔法の最大の欠点は、その読心魔法をみだりに使うことだ。馬鹿。