神殺しのクロノスタシス3

すると。

ナジュが、ホワイトボードに何かを書いた。

何だ?

『話に割り込んで申し訳ないですが、僕はそれ以上に心配なことがあるんですが。』

心配なこと?

「何だよ?心配なことって」

「…」

さらさらと何かを書く。

『僕の、この口の糸って、いつ抜いてもらえるんですか?』

超下らないことだった。

「一生だ馬鹿」

ガーン!みたいな顔のナジュ。

お前はもう、一生ホワイトボードで意思疎通しろ。

するとナジュは、焦って何かを書き始めた。

今度は何だよ。

『真面目な話ですって。』

「お前に真面目な話が出来るのか?」

ジト目で睨むと、ナジュは無言で嘆息し。

さらさらと、短い文章を書いた。

『ヴァルシーナのことですよ。』

「…!」 

更に、ナジュは長文を書いた。

『『アメノミコト』については、専門のお二人の意見が正しいでしょう。でも、そこにヴァルシーナが絡んでるなら、絶対お二人の思うようにはいきません。』

「…」

『あの女が『アメノミコト』のバックにいるなら…』

と。

ナジュが手を動かして、ホワイトボードに書いていると。

溜息をついたイレースが、杖を取り出した。

「ちょっとじっとしてなさい。口の糸をほどいてあげましょう」

「…!」

良いんですか?みたいな顔のナジュ。

「緊急時です。ヴァルシーナについて、一番良く知ってるのはあなたですし」

…仕方ないな。

個人的には、もう何日…いや、もう何ヶ月くらいか、口縫っといて欲しかったところだが。

何なら一生でも良い。
 
でも、イーニシュフェルト魔導学院、ひいてはルーデュニア聖王国の為に、この男の意見が必要なのなら。

不本意ながら、そろそろ喋らせてやるとするか。