神殺しのクロノスタシス3

「過去に囚われるな、とまでは言わない。過去を背負って、罪を背負って、それでも強く生きなさい。死んだ人々、そして生きている人々に、誇れるように。…分かった?」

「…分かった」

すぐりは、小さく頷いた。

「出来そう?」

「さぁー…。俺に出来るかな?そんなこと」

「『八千歳』は大丈夫だよ。僕より器用だもん」

と、すかさず令月。

…まぁ。

すぐりは少なくとも、授業中は鉛筆と消しゴム使ってるもんな。

ジャマ王国特有なのか、常に行書体で字を書くのは令月と一緒なのだが。

少なくとも、本人が「普通に生きたい」と言っていたように。

令月よりは、普通の学生やってる感はある。

園芸部にも入ってるらしいし。

そういう意味では、適応力の高さはすぐりの方が上なんだよな。

更に。

ナジュが、さらさらとホワイトボードに何かを書いていた。

今度は何だ?

『普通に生きるなんて、白馬の王子と秘密のお花畑に比べれば、全然楽勝じゃないですか。』

とのこと。

…?

…なんかそのワード、度々聞くんだけど。

何?何なの?

しかし、すぐりはそれを読んで、ぷっと噴き出した。

「そーいや、そーだった。な〜んだ、楽勝じゃん」

よく分からないけど、ナジュのこの文章のお陰で。

すぐりは、初めて笑顔を見せた。

ナジュ…。お前。

余計なことばっかり言うと思ってたが、意外と真面目なことも言えるんだな。

と、思った瞬間。

ナジュは不本意そうに眉をひそめ、何かを書き始めた。

大体何を書いているかは想像出来るが。

案の定。

『失礼な。僕はいつだって真面目ですよ。』

イーニシュフェルト魔導学院1の不真面目教師が、何か言ってるぞ。

見なかったことにしよう。