「そう、俺と君で、一騎討ちをしよう」
「…」
「殺し合いだよ」
そう言われた瞬間、僕は思い出した。
『アメノミコト』に買われて、入れられたあの学校。
毎月行われた、選別試験…。
あれと同じことを、もう一度やれと言うのか?
「俺と君の優劣を、白黒はっきりつけようじゃないか。お互い横槍はなし。本物の一騎討ちだよ」
「どうして…そんなことを…」
折角生き残ったのに。
何でまた、自分の命を脅かすようなことを。
「どうして?それを君が言うの?俺に言わせたいの?」
『八千歳』の顔が歪んだ。
「っ…」
「俺は君が嫌いなんだ。大ッ嫌いなんだよ。心の底から、憎くて憎くて仕方ない。そんな相手を自分の手で殺したいと思うのは、そんなにおかしなこと?」
「…」
…『八千歳』は、僕をずっと憎んでいた。殺したがってた。
そして今、ようやくその機会を得た。
「僕は…もう『アメノミコト』の人間じゃない」
「だから何?嫌とは言わせないよ。いずれにしても、君に拒否権なんてないんだからね」
…拒否権なんてない…?
…!まさか…。
「気づいた?」
「…君は…」
「『八千代』。言ったよね?俺は一人で来たんじゃない。もう一人いる。君が一騎討ちを拒否するなら、誰かに相談したり、横槍を入れてくるようなら…。そのもう一人が、君の大事な『お仲間』を殺すよ」
…そんなにも、あっさりと。
人の命を、一生を奪うことを、あっさりと。
彼らにとって、殺すという言葉は…とても軽い。
かつて、僕にとってそうであったように…。
彼らが殺すと言えば、間違いなく殺す。
「まずはルームメイトから、かな?それと学生寮にいる生徒達を一人ずつ…。10分もあれば、100人は殺してあげられるよ」
「…」
はったりではない。
『終日組』の暗殺者が一人いれば、平気でそれくらい殺せる。
ましてや、生徒達は学生寮という一つの建物の中に、密集しているのだ。
檻に囲まれた羊の群れの中に、凶暴な狼を放り込むようなものだ。
学院長達が気づいて、助けが来るとしても、それまでに何人殺されているか…。
「さぁ、どうする?俺との一騎討ち、受けてくれるよね?」
「…分かった」
本当は、受けたくはなかった。
当たり前だ。
二度と、『アメノミコト』とは関わりたくなかった。
でも、そういう訳にはいかない。
僕が逃げれば、罪のないイーニシュフェルトの生徒達が…。
「あはははは!」
「!?」
突然、『八千歳』は笑った。
馬鹿にしたような笑みだった。
「ごめんごめん。おかしくてね〜。あれだけ殺しておいて、あれだけ大勢、無慈悲に、躊躇なく人を殺しておいて。今度は学友を守る為に、自分の命を懸けられるの?」
「…!それは…」
「たった半年で、君に何があったの?一体どういう心境の変化?クラスメイトなんて何人死んでも、自分には関係ない。平気でそう言える人だったじゃないか、君は」
そうだね。
昔は、そうだった。
「戦いたくないけど、『お仲間』の為には戦わざるを得ない。大変だね…守るべきものがある人は」
「…」
「もう一人が、君の部屋の机の上にメモを置いてる。それに従ってよ。精々…錆び付いた牙を研いでおくことだね」
そう言って、『八千歳』は消えた。
「…」
「殺し合いだよ」
そう言われた瞬間、僕は思い出した。
『アメノミコト』に買われて、入れられたあの学校。
毎月行われた、選別試験…。
あれと同じことを、もう一度やれと言うのか?
「俺と君の優劣を、白黒はっきりつけようじゃないか。お互い横槍はなし。本物の一騎討ちだよ」
「どうして…そんなことを…」
折角生き残ったのに。
何でまた、自分の命を脅かすようなことを。
「どうして?それを君が言うの?俺に言わせたいの?」
『八千歳』の顔が歪んだ。
「っ…」
「俺は君が嫌いなんだ。大ッ嫌いなんだよ。心の底から、憎くて憎くて仕方ない。そんな相手を自分の手で殺したいと思うのは、そんなにおかしなこと?」
「…」
…『八千歳』は、僕をずっと憎んでいた。殺したがってた。
そして今、ようやくその機会を得た。
「僕は…もう『アメノミコト』の人間じゃない」
「だから何?嫌とは言わせないよ。いずれにしても、君に拒否権なんてないんだからね」
…拒否権なんてない…?
…!まさか…。
「気づいた?」
「…君は…」
「『八千代』。言ったよね?俺は一人で来たんじゃない。もう一人いる。君が一騎討ちを拒否するなら、誰かに相談したり、横槍を入れてくるようなら…。そのもう一人が、君の大事な『お仲間』を殺すよ」
…そんなにも、あっさりと。
人の命を、一生を奪うことを、あっさりと。
彼らにとって、殺すという言葉は…とても軽い。
かつて、僕にとってそうであったように…。
彼らが殺すと言えば、間違いなく殺す。
「まずはルームメイトから、かな?それと学生寮にいる生徒達を一人ずつ…。10分もあれば、100人は殺してあげられるよ」
「…」
はったりではない。
『終日組』の暗殺者が一人いれば、平気でそれくらい殺せる。
ましてや、生徒達は学生寮という一つの建物の中に、密集しているのだ。
檻に囲まれた羊の群れの中に、凶暴な狼を放り込むようなものだ。
学院長達が気づいて、助けが来るとしても、それまでに何人殺されているか…。
「さぁ、どうする?俺との一騎討ち、受けてくれるよね?」
「…分かった」
本当は、受けたくはなかった。
当たり前だ。
二度と、『アメノミコト』とは関わりたくなかった。
でも、そういう訳にはいかない。
僕が逃げれば、罪のないイーニシュフェルトの生徒達が…。
「あはははは!」
「!?」
突然、『八千歳』は笑った。
馬鹿にしたような笑みだった。
「ごめんごめん。おかしくてね〜。あれだけ殺しておいて、あれだけ大勢、無慈悲に、躊躇なく人を殺しておいて。今度は学友を守る為に、自分の命を懸けられるの?」
「…!それは…」
「たった半年で、君に何があったの?一体どういう心境の変化?クラスメイトなんて何人死んでも、自分には関係ない。平気でそう言える人だったじゃないか、君は」
そうだね。
昔は、そうだった。
「戦いたくないけど、『お仲間』の為には戦わざるを得ない。大変だね…守るべきものがある人は」
「…」
「もう一人が、君の部屋の机の上にメモを置いてる。それに従ってよ。精々…錆び付いた牙を研いでおくことだね」
そう言って、『八千歳』は消えた。


