神殺しのクロノスタシス3

…しかし。

「あれー?何してんの?」

「こんにちは」

すぐりと令月の二人が、丁度学院長室に入ってきた。

「あら、あなた達…一緒に来たんですか?珍しい」

「じょーだんじょーだん。『八千代』が勝手に俺の後ろをついてきただけで、俺は一人で来たよ」

世間では、それを一緒に来たと言う。

相変わらず、対抗意識燃やしてるなぁ。

「大体、呼んだのはそっちでしょ。俺は早く園芸部の方に行きたいのにさぁ。用があるならさっさと済ませ…ん?」

すぐりが、あることに気づいた。

そして、令月も。

「…不死身先生が、縫われてる」

「どしたの?呪いの人形みたいなことして。マゾなの?」

あぁ、マゾなんだよこいつ。

すぐ人を庇って怪我するからな。もうマゾだ。

「むむー。むーむー!」

「『八千歳』。あれ何言ってるか分かる?」

「さぁ。俺、ナジュせんせーの母国語知らないから」

言いたい放題の生徒達である。

しかし。

「ちっ。子供がいるんじゃ、ファラリスの雄牛を見せる訳にはいきませんね」

と、舌打ちするイレース。

するとナジュは、その通りとばかりにぶんぶん頷いた。

「え、ファラリスの雄牛?あの有名な奴?」

「それなら知ってる。確か、製作者が一番最初の犠牲者になったって伝説の、拷問具だ」

さすがは元『アメノミコト』の暗殺者。そういう、知らんでも良いことはよく知っている。

「あるの?見たい見たい!現物見るの初めてなんだよ俺」

そして、子供は残酷である。

「むー!むーむー!!」

必死にすぐりを止めようとするナジュである。

何かをメモに書き、すぐりに押し付ける。

「…え?ナジュせんせーが犠牲者になるの?へー…」

興味なさそうな顔。

しかし。

「でも、あの戦いで、ナジュせんせーには助けてもらったしなぁ。今度は俺が助けてあげるよ」

え?

「イレースせんせー。ファラリスはやめたげてよ」

救世主すぐり、現る。

「…ちっ。仕方ないですね」

またしても舌打ちして、ファラリスを思い留まるイレース。

「むー!」

命拾いしたー!みたいな顔の、歓喜のナジュ。

命拾いってか、不死身だけど。

「ファラリスの雄牛かぁ…。ちょっと見てみたかったな…」

なんか、ポソっと呟いてる元暗殺者もいるが。

「と、と、とりあえず皆落ち着いて。ね?折角揃ったんだし、落ち着いて話し合おう」

と、シルナが仲裁に入り。

何とか、拷問は回避したナジュであった。